経常収支の黒字、リーマン後最大 17年、21兆8742億円
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2017年通年の国際収支統計。世界経済の回復に伴い輸出、輸入ともに回復し、サービス収支も改善し、第一次所得収支も改善した。内容としては順調そのもの。
世界経済の状況や原油価格の動向次第では今年も海外部門が順調に推移するとは限らない部分はあるが。
注目のコメント
原油価格が急上昇して貿易収支の赤字が大きく膨らんで、経常収支がマイナスに沈むのではないかと心配された2012年~2014年ころからくらべると、随分と黒字幅が大きくなりました。中でも、貿易収支が2016年、2017年と2年続けて黒字になったのは印象的。2017年はちょっぴり原油価格が上がりましたが、それでも当時に比べると価格は半分程度。貿易収支の黒字にエネルギー価格の低下が効いているのは間違いなさそうです。
我が国が貿易で稼ぐ国から所得で稼ぐ国に変わって久しいですが、資源を輸入に頼る我が国にとって貿易は生命線。加えて、経常収支、中でも貿易収支が黒字というのは、きわめて大雑把に言えば、我が国の民間が節約するモノやサービスが、政府が使いすぎるモノやサービスより大きく、余ったモノが外国に売れる状態にあるということです。政府が使いすぎる分が政府の借金で、民間が節約する分が銀行や年金基金への貯蓄ですから、この状態にある限り、政府は毎年の借金を民間の貯蓄に頼って国内で賄えます。プライマリーバランスが赤字の中で日本が過去の破綻国みたいに混乱しない背景に、この構図があることは先ず間違いありません。
経常収支や貿易収支の黒字は必ずしも大きければ良いというものではないですが、政府の借金が嵩張りプライマリーバランスの黒字化が先送りされる、つまり政府が毎年新しい国債を発行して国民の貯蓄で買ってもらわなければならない状態にある我が国で、これは大きな安心材料です。経常黒字が増えるということは、世界でお金を稼いでも、上手く使えていないということ。この22兆円を有効活用できれば、経済の好循環メカニズムが働き始めると思います。理想は、国内消費と輸入が両建てで増える世界です。