エンドウ豆のタンパク質を抽出

ゴールドマン・サックス・グループが、ほとんど知られていない飲料メーカー「リップル・フーズ」(Ripple Foods Inc.)への6500万ドルの投資に参加した。同社は、黄色エンドウ豆から代替ミルクを作っている。
Euclidean Capital(ユークリディアン・キャピタル)が主導する今回の投資は、Khosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)やFall Line Capital(フォール・ライン・キャピタル)のほか、オープンテーブルの創業者が立ち上げた食品・農業関連の投資会社S2G Ventures(S2Gベンチャーズ)などが出資している。
今回の出資は創業後2年になるリップル・フーズに対する最大のものとなり、同社がこれまでに得た資金の総額は1億1100万ドルになる。
リップル・フーズが投資家に売り込んだのは、エンドウ豆のタンパク質「Ripptein」。創業者のニール・レニンガーとアダム・ローリーによると、エンドウ豆から抽出するプロセスで、植物原料によく見られる土臭い風味が除去され、ほぼ純粋なタンパク質になるという。
投資家たちはこの4年間、植物由来の赤身肉代替品を製造するインポッシブル・フーズやラボで鶏の細胞を増殖させるメンフィス・ミーツなど、新興の食品飲料企業各社に対して毎年10億ドルをはるかに超える資金を投入してきた。
調査会社のCBインサイツによると、この分野は2017年、エクイティ・ファイナンスで約20億ドルを調達している。

「健康的な代替品」に集まる関心

この背景には、乳製品や食肉と比べて健康的な代替品と呼ばれることが多い植物性食品・飲料に対して、アメリカ人の需要が増していることがある。消費者が代替品に切り替えていることから、アメリカの牛乳摂取量は減少してきた。
シカゴを拠点とする市場調査会社IRIによると、従来型ミルクのなかで最大の割合を占める無脂肪乳と低脂肪乳は2017年、アメリカでの小売売上高が5.5%減少したという。
ゴールドマン・サックス・グループは、こうした動向に注目してきた。「最も急成長している植物性製品シリーズを抱える企業のひとつに投資できたことに満足している」と、同社の消費者向け小売りおよびヘルスケアグループ担当グローバルチェアを務めるキャシー・エルセッサーは言う。
リップル・フーズのローリーとレニンガーによると、投資家に対する最大のセールスポイントは登録商標のあるRipptein以上に賞賛されている2人の経歴にあるという。
ローリーは、天然由来の洗剤ブランド「Method Products」を共同で立ち上げ、自身をマーケティングの達人と考えている。一方のレニンガーは、ブラックジャックのチャンピオン・プレイヤーになった後、再生可能燃料や抗マラリア薬を製造するアミリスを創設した科学者だ。
2人は現在、エンドウ豆を原料とするアイスクリームの新シリーズを開発中だが、このアイスクリームはエンドウ豆の味はしないという。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Olivia Zaleski記者、翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、写真:A_M_Radul/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.