Tカードで企業の売上予想、ヘッジファンドに提供-ナウキャスト (1)
コメント
注目のコメント
【Tポイントカードのビッグデータ解析で何がわかるか?】
本件記事は当社ナウキャストの取り組みについて取り上げていただいていますので、若干の敷衍をしたいと思います。
当社では、2015年まで、小売店のPOSデータを活用し、国際標準のトルンクビストといわれる計算手法をベースに、短時間で「消費者物価指数」を算出し公表していました。
この「東大指数」は、総務省の公表する消費者物価指数よりも速報性が高く、新製品の組み入れなど政府統計の課題を解決した指数としてマクロ経済を分析する日銀や金融機関のエコノミスト、債券投資家から高い評価を受け、事業を東大の研究室から引き継いで日経Nowcastとして公表し始めてからもそのデータ基盤の拡充を進めています。
POSデータの弱点は、①一つ一つの購買データに関して、消費者の属性情報が付帯されていない、ということと、②統計的には有意であるとはいえ(さらに総務省の指数のべースになるデータより多くのデータに基づくとはいえ)、マクロ統計の作成以外の用途に活用するにはデータポイントが少ない、ということでした。
TポイントカードのようなカードはID POSとよばれ、利用者の性別や居住地などのプロフィール情報と、買い物の数量や価格、購入日時などがセットになった情報が手に入るのが特徴です。その中でも日本最大のID POSであるTポイントカードからは、膨大なビッグデータが日々生まれていて、そのデータに基づく消費者物価指数はTPI(Tポイントプライスインデックス)としてすでに公表しています。
今回の「企業の売上予想」は、そうしたデータを、製造元の企業毎に集計し、アルゴリズムを噛ませることで、売り上げ予想や、決算予想、あるいは商品カテゴリー毎に集計することで特定商品の競合分析に活用しようとする当社の取組みの一端が紹介されたものです。
マクロ統計では必ずしも求められない細かいメッシュのデータが、新しい道を拓いているということです。
アナリストが担当企業と癒着する事で得たインサイダー情報に基づいて業績や株価を予測し、当局から処分を受けた事例が続き、インサイダー情報に該当しない公開ビッグデータを用いた業績予想を行うサービス提供へのニーズが高まったと判断して準備を進めてきたもので、データの取扱いについても、特殊な加工を行ってその機密性を確保しているものです。こうした販売データはもちろん、もっと経済のファンダメンタルについて手前で予測をしようと、衛星による工場に出入りするトラックの台数や資源・エネルギーを運搬する船舶の数のチェックや農地の画像データなど、ヘッジファンド周りのデータサービスは多岐にわたっている。IoTの普及でさらに色々な手法が出てきそう
面白いし応援したい取り組みなのだが、コンプラ・契約面が気になる取組。
というのは、Tカードは小売企業が提携している。そして小売企業はメーカーの製品を売っている。つまりメーカーはTカードの情報提供の直接的契約者ではない。
記事を読む限り、メーカーの売上も予想できるように思うのだが、そもそもメーカーはそういった間接的な利用やデータ供給について認めているのだろうか?(もしくは許諾などはいらないのだろうか?)