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とりあえずは、賢明な判断。
仮にトランプが対イラン制裁の再発動に動けば、次の2点の思惑から市場は動揺しただろう。
一つは、対イラン制裁は、欧州などの関係国と決めたものでありことだ。現実では国際原子力機関は、イランは核合意を遵守していると報告しており、欧州諸国も米国が単独制裁を課すようなことがないよう求めてきた。それをトランプ政権が無視するなら、2018年初頭から、欧米間の軋轢が再びクローズアップされることになっただろう。これは大きなドル売り要因になっていた可能性がある。
二点目は、原油価格への影響だ。現在、市場参加者の予想に反し、原油価格がジリジリ上昇している。そこには様々な要因があるが、このタイミングで米国が制裁に踏み切れば、イラン原油の供給が細るという思惑から、原油価格は上昇していただろう。イランは日量380万バレル程度あり、サウジの4割くらいの原油生産力がある。
ちなみに、イランの制裁が解除される議論がされていた頃は、原油価格は40ドル売り台だったが、イラン原油が輸出再開されたら、10ドル程度価格を押し下げると予想されていたものだ。現実は、そうはならなかったが、イランはそれくらい影響力はある。
この問題は、次回にまた議論になるであろうが、とりあえずはリスクは回避されたということだ。出遅れました。トランプ大統領のstatement全文はこちら。
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/statement-president-iran-nuclear-deal/
核合意は多国間合意であり、その中で米国に求められているコミットメントとして各種イラン制裁法(ISA, NDAAなど)のwaiverがあり、各制裁法毎に120日なり180日毎にwaiver更新する必要あり。
他方、2015年のJCPOA成立時、米国内の対イラン強硬派を抑えるためにINARA(Iran Nuclear Agreement Review Act)が米国議会で可決、これは米国国内法であり、米国大統領が90日毎にイランの合意順守を認定(certify)し、議会に報告する決まりとなっています。
昨年10月にトランプ大統領がDecertifyしたのがこのINARAなのですが、それに対して議会は結局何もしませんでした。(昨年4月、7月はcertify、何故10月になってdecertifyしたのかについての個人的見解はこちらhttps://newspicks.com/news/2661273/)
トランプ大統領の本statementでは、各種waiver更新を発表しつつも、「これが最後のチャンス」として、核合意の欠陥をfixするようにと議会及び欧州諸国にボールが投げられました。
気になるのは、これが核合意そのものの改定を意味するのか、それともINARAの法改正及び米国国内法での欠陥修正を意味するのか、実はstatementを読んでも(僕には)正直どちらとも分からない所です。長距離弾道ミサイル制裁については”the legislation must explicitly state in United States law”ですからね。
というか、「(多国間合意であるJCPOAはそのままだけど)米国国内法で欠陥fixしたったわ」という、スーパーダブルスタンダードな落とし所があり得るのでは、と、個人的には思ったりしています。
いずれにしても、現時点では法令遵守しながら粛々と商売を進めていき、有事の際には然るべきアクションが取れるように備えておくのみ。
ベビニン チミシェ(ペルシャ語でLet’s see)NAFTA交渉等もあり、1月30日の一般教書演説を挟み、なにかと決定事項の多い2018年の走り出しですが、まずは意外に無難に決めてきました。騒がしいのはこれまで以上ですが、今年も行動は追いつかないのか、注目ですね。
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