ドイツ 〜 過剰な風力発電に補助金停止
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注目のコメント
この記事の筆者は電力市場に詳しくないようなので、ファクトチェック的にコメントします。
まず、「マイナス価格の発生などという行き過ぎた市場原理主義が蔓延しないよう」とありますが、そもそもマイナス価格(ネガティブプライス)は市場の正常な反応です。むしろネガティブプライスを認めないような規制は市場を歪め公平性を損う可能性すらあります。
ドイツで起こっている問題は、ネガティブプライスが「多発すること」ですが、これは「何らかの改善が必要」という正常な市場シグナルと解釈することができます。何らかの改善とは、まず送電線増強などの技術的解決手法が考えられますが、ドイツの場合、送電線の新設は地域住民の合意形成が難しく、計画が遅れています。これがドイツでネガティブプライスが多発する主な原因です。このような状況は、ドイツだけでなく米国テキサス州でもかつて見られました。原因はやはり送電線建設の遅れです。そして送電線の建設が完成したら、ネガティブプライスの多発は解消されました。
https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=16831
この記事が「行き過ぎた市場原理主義」と指摘する根拠がわかりません。
また、記事では「マイナス価格とは、…過剰に発生した電気を引き取ってもらう代金を風力発電事業者が支払うというもの」とありますが、これも認識が誤っています。ネガティブプラスはその時の全ての落札者がペナルティとして支払うので、出力を容易に制御できない原子力や石炭火力も支払います。ネガティブプライスが発生する要因は、「再エネの過剰供給」ではなく、柔軟性がない電源(すなわち原子力や石炭火力)が一定運転しかできないためだという解釈もできるのです。日本で有り難がれている「ベースロード電源」は、国際的な議論の中では「柔軟性を発揮できないドンくさい電源」として、市場から選択されず退出する傾向にあります。
もちろん、ネガティブプライス時に落札したどの電源も等しくペナルティを払う中、風力事業者だけがその分もFIPのプレミアム分(記事の「補助金」という表現は誤りではないが誤解を招きやすい)をもらえるのは公平性の観点から好ましくない、という指摘は以前からあり、今回ドイツネットワーク規制庁が今回それを実行したに過ぎません。風力が「過剰な発電」という観点では一番起きやすいと思う。それは、それだけ電力系統に電気が流入しているということで、不可もかかっている。そして過少・過剰な需給バランスは電力系統全体を麻痺させるデリケートなもの(だから震災の際に計画停電もした)。つまり電力系統を保護するためにはコストがかかるということで、過剰な発電に対してマーケットメカニズムでペナルティをかけた事態になったのだろう。
再生エネルギーを普及拡大するにしても、電源の種類や地域を分散させることで、変動を抑えることはとても重要だと感じる事例。なんらかのバッファは欲しいですよねぇ。
もったいないので。
でも蓄電池整備する位なら、余分な電気捨てた方が経済合理性あるという事なんでしょうねぇ。