【山極寿一×山海嘉之】『サピエンス全史』が登場したのは必然だ
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サピエンス全史がどうとかの前に、この本が「ビジネス書」として評価されたと言うことが、貨幣収入の増加と「社会的成功」を夢見ている現代の人々が、いかに大きな不安を抱えているかと言う証左だろう。
ハラリは7万年前に認知革命が起きたとしていますが、ジュリアン・ジェインズ著「神々の沈黙」によれば、狩猟を共同で行ううちに、脳内の指示に従う「二分脳」の時代を経て、文字による物語の形成によって「二分脳」は崩壊し、そこで初めて意識が成立したという。それはほんの3000年前。
資本主義も虚構なら、自由も責任も待機児童問題も財政破綻も環境問題も虚構なんですが、まあそれはいいや。
「未来を信じる心」は、リスクに対する考え方の文化的な変遷の問題だと思います。リスクの語源が「(困難な航海を)勇気を持って行う」である"risicare"にあったように、かつては船乗りや冒険家のようなモナド民と、それ以外の普通の定住生活をしている人々では、未来に対する考え方の文化が全く異なったと思います。
人口統計がとられて生命保険がうまれ、賭博から航海保険が生まれ、こうして未来のリスクを計量化するようになると共に、ルネサンス期に免罪符が販売されるようになると、運命に対する自己責任という考え方が一般化し、未来を信じる心が文化化したのではないでしょうか。
資本主義は単にエネルギー資源の機械掘りと駆動機関の発明によって、指数関数的な経済成長が数百年に渡って可能になったことを前提とした虚構なので、無関係ではありませんが、また少し違うかなと思います。
しかし、この2人の対談は2018年を予測するというより、もっと超長期ですな。"“集団で虚構を信じる能力こそが、人類が文明を築く礎となった”というのが、主題です。"
主題もそうですし、山海教授が書いているように、このタイミングで出てきたことにも意味があると思います。衝撃を受けました。