[ワシントン 12日 ロイター] - 米労働省が12日発表した11月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.3%上昇を上回った。ガソリンやその他のモノが値上がりした。3カ月連続で0.4%伸びている。

前年同月比は3.1%上昇し、2012年1月以来、5年10カ月ぶりの大幅な伸びとなった。市場予想は2.9%上昇だった。10月は2.8%上昇していた。

食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア物価は0.4%上昇。前月まで2カ月連続で0.2%上昇していた。11月の前年同月比は2.4%上昇し、14年8月にコア物価の前年同月比の統計を開始して以来の大幅な伸びとなった。10月は2.3%上昇していた。

MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「商品価格の上昇に起因する需要にけん引された物価上昇は、消費財に対する物価上昇圧力が今後出てくることを典型的に示唆している」と指摘。

ウエルズ・ファーゴ証券(ノースカロライナ州)のエコノミスト、サラ・ハウス氏は「連邦準備理事会(FRB)当局者は、前年比で伸びたことはインフレが緩やかに上向いている印として歓迎するとみられる」と述べた。

11月の比較的底堅いPPIは、卸売物価の上昇圧力が広範にわたり増していることを示唆する。上半期にみられた物価の弱含みが一巡したとの見方を後押しする。低インフレの要因が一時的なものではないかもしれないと懸念していたFRB当局者らにとって不安を和らげる材料となる可能性がある。

FRBは12-13日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。FRBが物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)物価指数はFRBの目標である2%を5年半近く下回り続けているが、底堅い労働市場と景気を背景に、当局者らが従来抱いていた物価低迷への懸念は薄れ、13日に今年3度目となる利上げを発表するとの見方が大勢だ。

11月の前月比の内訳は、ガソリンが15.8%急騰。09年8月以来の大幅な伸びだった。10月は4.6%下落していた。1.0%上昇となった最終需要財の押し上げ要因の3分の2を占めた。

軽量トラック、医薬品、牛肉、住宅の電気代、航空燃料も値を上げた。食品は0.3%上昇。10月は0.5%上昇していた。サービスは0.2%上昇した。10月は0.5%のプラスだった。

モノのコア指数は3カ月連続で0.3%上昇した。乗用車は0.5%上昇と、16年12月以来の大幅な値上がりだった。10月は横ばいだった。

医療サービスは横ばい。10月は0.3%上昇していた。医療費はFRBが物価の目安として注目しているコアPCE物価指数の算出に組み込まれる。