「もうアメリカには頼れない」ドイツ独自外交への脱皮
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ドイツは冷戦が終わった段階から、米国と対等な関係を求めようとしてきた。例えばドイツ国内の米軍基地の管理権を取り戻すことに成功しているし、ドイツ軍はセルビア空爆にも参加している。一方で我が国には冷戦時代の成功体験(軽武装・商業主義)が根強くあり、日米関係を根本的に見直そうとする動きはほとんどないが、地位協定など冷静に見ればとても対等な関係とは言えない。
トランプ政権はモンロー主義というわけではなく、自国中心主義というべき立場でしょう。自国利益のためであれば、積極的に世界の各地で介入を行うという姿勢も見てとれます。極東でいえば、北朝鮮問題は米国の安全保障を確保することが第一であり、日本や韓国の安全保障や経済は二の次、という原則になるでしょう。
20世紀後半の米国は、マーシャル・プランや自由貿易秩序の確立によって、自国の利益を確保しようとしてきました。米国がその路線を放棄するなら各国と食い違いがでてきます。
ヨーロッパから見ると、米国が自国第一主義をとった場合、米国と立場が食い違うのは、まずロシア、次いで中東についてでしょう。ヨーロッパ諸国は東側に位置しているほど、ロシアの脅威を感じているでしょうし、米国、とりわけトランプ政権のインナーサークルの人々にはおよそ理解してもらえない懸念でしょう。
中東については、ヨーロッパ諸国の立場は明らかに現状維持(旧状復帰)で、紛争が抑止され、経済と治安が安定し、難民が流入してこないの望ましいでしょう。米国はイスラエルと立場を共にしており、積極的な介入によってでも中東に新秩序を確立し、とりわけイランの台頭を排除したいでしょう。中東で紛争が多発しているのは、別に米国とイスラエルのせいばかりではないし、「アラブの春」以前の現状を維持するのは難しかったでしょうが、ヨーロッパ諸国は、以前の状態が望ましいと考えるでしょう。
ヨーロッパ諸国は、米国に依存できない場合、EUで独自の秩序を周辺地域に打ち立てることができるとは考えないでしょう。もはや自信を喪失しています。外部にパートナーを求めています。
ロシアには非常な不信感を持っており、国力からいっても頼りになるとは考えられません。
五年くらい前から、ヨーロッパ諸国は中国とのパートナーシップを熱心に模索しているように見えます。中国の体制や外交政策の問題点も周知されるようになってきて、逡巡も見られますが、やはり「一帯一路」に期待して、活路を見出したいのが大勢であると見受けられます。”「エルサレムの帰属問題を解決できるのは、イスラエルとパレスチナによる直接交渉のみだ」と、ガブリエルは主張。”
欧州でも懸案となっているエルサレム帰属問題ですが、そもそもイギリスが焚き付けて欧州で差別に苦しんたユダヤ人を送り込んだことがコトの発端です。
圧倒的強者イスラエルとアラブの仲間からも見放されたパレスチナでは対等な政治交渉が行えるわけもなく、現実的には外部の仲介者が主導してこそ交渉が始められます。
欧州諸国にアメリカが空けた席に座るチャンスがあると思うのですが、ドイツは大きなリスクを背負ってまでリーダーシップをとりたいとは考えていないのでしょう。