アップルに買われた男、次は「旅のフェイスブック」をつくる

2017/12/7
今年も年末年始のホリデーシーズンがやってきた。近年、旅行比較サイトの登場で消費者の選択肢は増えたものの、その情報量の多さに辟易(へきえき)し、どの旅行先やホテルを選べばいいのか、かえって決められないことはないだろうか。
そんな中、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」のように、口コミの「量」で勝負するのはもう古い、と話す起業家が現れた。オランダ人のヨヘム・ヴィナンズ氏だ。
米誌『ナショナル・ジオグラフィック』のフォトグラファーを長らく務め、旅行誌の制作にも携わってきたヴィナンズ氏は、デジタル雑誌のデザインプラットフォーム「Prss」を創設し、2014年に米アップルに売却した人物だ。「Prss」はその後、アップルのニュースアプリ「アップルニュース」の原型になった。
そんな彼が2017年5月に立ち上げた「TRVL(ティーアールブイエル)」という旅行予約プラットフォームは、実にユニークだ。
コンセプトは、「誰でも『旅行代理店』になれる」。
オランダ・アムステルダムにあるTRVLのオフィス 写真:TRVL
まずはTRVLで「自分の旅行プロフィル」を好きなようにカスタマイズ。そして、そんな自分のプロフィルページに載っているおすすめスポットを見て友人が実際に旅先を予約すると、自分のところに手数料が入ってくるからうれしい仕組みだ。
いわば、旅行に特化した自分のフェイスブックページのようなものを作り、それが支持を集めれば、お金まで稼げるというわけだ。
ユーザー数は順調に成長しており、2018年夏には100万人に達する見込みだという。消費者目線に立った「理想の旅」のあり方について、ヴィナンズ氏に詳しく聞いた。
ヨヘム・ヴィナンズ(Jochem Wijnands)オランダ人起業家。米誌『ナショナル・ジオグラフィック』のフォトグラファーを8年間務めたのちに、2010年にiPad向けのトラベル雑誌「TRVL」を創刊。その経験を元にデジタル雑誌のデザインプラットフォーム「Prss」を創設し、2014年にアップルに売却。「Prss」は同社のニュースアプリ「アップルニュース」の原型となる。 2015年9月「TRVL」を旅行予約プラットフォームとしてリニューアルし、2017年5月から一般公開を開始。(写真:TRVL)

家族分も予約したら「報酬」を

──「TRVL」とはどんなサービスなのですか?