ペイティーエム(Paytm)決済銀行は、銀行口座を持たない大勢のインド国民に対してサービスを提供する。決済銀行は規制により、預金には対応可能だが融資はできない。
銀行口座持たない国民の利用拡大へ
ペイティーエム決済銀行(Paytm Payments Bank)の目標は、5億件の銀行口座が開設されている世界最大のデジタル銀行になることだ。資産管理や株取引など、あらゆるサービスを提供する総合金融サービス企業への転身を目指している。
創設者のビジェイ・シェカル・シャルマは11月28日、電話インタビューで次のように述べた。
「いまは、マネーマーケットファンド(MMF)を発表し、デビットカードを発行しようとしているところだ。将来的には、法人が業務用の口座を開設できるようになる。デジタル決済はわれわれにとっては出発点だった。われわれは、垂直統合型の金融サービス企業になりたいと考えている」
電話インタビューが行われたのはちょうどニューデリーでの正式な開業式が行われたときであり、この開業式にはインドの財務大臣アルン・ジャイトリーが参加した。
正式な開業は、ペイティーエム決済銀行がベータ版でなくなり、業務上の多くの課題が整理されたことを示唆しているとシャルマは述べた。
13億人のインド国民のうち、きちんとした金融サービスを利用できない人たちの割合は約5分の1に上る。ペイティーエムはこうした人々が簡単に利用できる金融サービスを提供するため、決済銀行の創設許可を得た12社ほどの企業のうちの1つだ。
決済銀行は預金や送金には対応できるが、融資は行えない。ナレンドラ・モディ政権は、銀行口座を持たない国民(多くは農村地域在住の貧困層)の銀行利用を拡大するため、こうしたサービスに力を入れている。
ペイティーエム決済銀行の声明によると、オンライン取引の手数料は無料で、預金口座の最低残高が設定されない、モバイル優先の国内銀行になるという。
ペイティーエム決済銀行の株式は、シャルマが過半数を保有。残り49%の株式については、アリババ・グループ・ホールディングが支援するワン97コミュニケーションズや、アント・ファイナンシャルなどが握っている。
高額紙幣廃止とデジタルウォレット
ペイティーエム決済銀行は、同社が提供していたデジタルウォレットから成長したものだ。インド政府が2016年11月に現金の90%近くを占める高額紙幣を廃止した後に、同社のデジタルウォレットは利用が大幅に増えて顧客が1億人を超えた。
シャルマは、融資を禁じる規制をすり抜ける方法を見つけたのかもしれない。ワン97コミュニケーションズはクレジットカードを導入し、月賦払いのローンを提供すると同氏は言う。
「近いうちに、株取引と保険商品の取り扱いも開始する。インターネット時代の金融サービス会社になりたいと考えている」
インドでは、従来の銀行システムは富裕層しか顧客にしない傾向がかなり強く、貧困層は請求書の支払いや親族への送金に苦労している。
「決済銀行を通せば、ペイティーエムの資産管理サービス経由で保険への加入や投資を広く行えるようになる」とシャルマは語る。
スマートフォンの普及や安いデータ通信料のおかげで大勢がインターネットを利用できるようになったものの、インドの銀行は大規模なデジタルバンキング機能をまだ構築していない。また、インドの消費者たちは新興のデジタル金融サービス企業を信頼しきれていない状態だ。
そのどちらの要因もペイティーエムに有利に働く可能性があるとシャルマは言う。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Saritha Rai記者、翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、写真:© 2017 Bloomberg L.P)
©2017 Bloomberg News
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.