進化する中国決済、原動力は不便にあり

2017/12/7
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
12月7日は、津上工作室 代表の津上 俊哉(つがみ・としや)さんが出演。
現代中国研究家で、津上工作室の代表を務められている津上さん。今日は「審査に1秒!中国『超高速融資』の恐るべき実力」(月刊誌 Wedge ウェブ版)を題材に、中国ITビジネスのビッグデータ活用についてお話いただきました。
POINT 1:
中国にみるビッグデータ活用の威力
アリババグループの金融子会社「アント・フィナンシャル」は小口融資ビジネスに乗り出した。銀行から融資を受けられない小企業や零細事業者が、運転資金を借りることができる。
「実はアリババは、いくらまでお金を貸していいかを判断する材料をもっています。それがビッグデータです。
たとえば、農家の多くはアリババが提供するB to Cサービスを使い、肥料やタネを仕入れている。すると、アリババのもとには借り入れ実績のほかに、タネの購入履歴などのデータが蓄積されるので、経営状況を把握しやすくなります。
大量のデータの活用により、企業側は貸し倒れリスクを抑えられますし、人ではなくAIに判定させることができる。借り手にとってもわずか数秒で審査結果が出て、瞬時に入金してもらえます」(津上さん)
POINT 2:
進化のパワーは「不便」にあり
「なぜそんな進化が可能だったのでしょう?」(サッシャさん)
「ひとつには、サービスの育成に政府が積極的だったこと。銀行など金融業界の既得勢力からは非難の声もあったようですが、『新しいサービスを育てなければ』と攻撃から守ったといいます。
もうひとつは、クレジットカードも普及しておらず、金融サービスが不便だったこと。そこに最新技術が投入されて便利なサービスが生まれたため、一気に利用者が増えました」(津上さん)
POINT 3:
個人情報保護はメリットとのトレードオフ
「日本の生活者は、自分の個人情報がどう取り扱われるか、とてもセンシティブですよね」(サッシャさん)
「ビッグデータを活用することが、どれだけ恩恵のあるものなのか。われわれ生活者にはイメージしにくいところがあります。
もしかしたらこれは、個人情報保護にガチガチな先進国を、ITが得意な途上国が追い抜いていく、そんな大きな変化の一端を示す例なのかもしれません。
大げさな言い方をすれば、中国で行われていることはある種の”実験”です。そこから未来社会の在り方を想像し、参考にできることも多いのではないでしょうか」(津上さん)
今回のニュースをはじめとした津上さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
12月11日は、立命館大学 公務研究科 教授の久保田 崇さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください