【求人掲載】業界に衝撃を走らせる 、メルカリBizDevとは何者か

2017/11/30
2013年7月、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに誕生したメルカリ。世の中の“無駄”をなくし、個人間で簡単にモノを売買できるフリマアプリを日本とアメリカ、イギリスで展開している。創業からわずか4年、アプリのダウンロード数は国内で6000万を超え、海外でも3000万を超えるなど圧倒的スピードで成長を続けている。一体その背景には何があるのか。まずはメルカリを取り巻く市場から見ていく。
フリマアプリの市場規模は驚異的に拡大
経済産業省が2017年4月24日に公表した、「平成28年度の日本の電子商取引に関する市場調査の結果」によると、日本のリユース・ネットオークション市場規模は、1兆849億円、そのうち、CtoCによる市場規模は3458億円であることが分かった。
さらに、2016年のフリマアプリに絞った市場規模は3052億円と推計されており、フリマアプリ自体が誕生してまだ4年程度しかたっていないことを考えても、市場の成長スピードは驚異的だ。
フリマアプリに限らず、モノやサービス、場所を個人間でマッチングさせるシェアリングエコノミーはいま世界中で興隆している。
遊休資産だったモノや場所、スキルなどを有効活用することで、この分野には莫大な経済効果が期待されているが、もうひとつ、世の中の無駄をなくすことに期待できるのが特長だ。
メルカリは「モノ×シェア」のトップランナーであり、従来から存在するリサイクルショップやフリーマーケットなど、リアルの場で展開されていた「リユース」のビジネスモデルを、スマホでタイムリーかつ簡単にできるよう進化させた。
2015年末時点でのインターネット利用者数は1億46万人で、そのうちスマホ利用率は54.3%、メルカリのダウンロード数が国内だけでも6000万を超えていることを考えると、スマホを利用している日本国民のほぼ全員がインストールしているアプリと言っても過言ではない。
非連続的な成長をつくるBizDevの存在
メルカリは現在、日本のフリマアプリ市場で2位以下を大きく引き離した状態で独走を続けている。そのヒット理由は諸説あるが、よく語られるのが「取り引きの圧倒的な手軽さ」だ。その利便性が優れている。
たとえば、「配送」はその一つ。個人間取り引きの場合、出品者と購入者の住所によっては送料が高くなったり、そもそも送料がいくらになるのかが事前にわかりにくいという課題があった。
しかし、メルカリがCtoCフリマ業界として初めてヤマト運輸と提携して開始した配送サービス「らくらくメルカリ便」では、「サイズ別全国一律送料」をヤマト運輸の通常価格から最大69%オフで提供する画期的な仕組みを導入。
また、システム連携によりメルカリの登録情報からQRコードを発行するので伝票の記入も必要がない。このサービスの導入によって「メルカリ便、便利すぎる」という声があふれた。
以降、ファミリーマートでのコンビニ発送や匿名配送、ヤマト運輸のセールスドライバーによる集荷など、追加機能を実装し利便性を向上し続けている。
2017年6月には、配送業界のビッグプレイヤーである日本郵便を新たなアライアンス・パートナーとして 「ゆうゆうメルカリ」便を開始 。 匿名配送はもちろんのこと、全国ほぼ全ての郵便局やローソンからの発送を実現するなど、大企業とのサービス連携に積極的だ。
次に重要なのが「決済」。メルカリのローンチ当初はリスクの観点から、CtoCフリマアプリという新しい存在に決済手段を開放する決済会社は極めて少なく、クレジットカード 、コンビニ/Pay-easyの手段しかなかった。
しかしメルカリは、2015年4月、NTTドコモの携帯キャリア決済の導入に成功したのを皮切りに、auやソフトバンクを含めた全ての携帯キャリア決済、セブンイレブン決済、そしてJCBカード決済を実現。
CtoCフリマアプリ業界では導入が実現していなかった決済手段全ての連携を実現し、決済の選択肢を飛躍的に増やしたことで、ユーザーの利便性が格段に上がったのだ。こうして、「配送」「決済」など、ユーザーの手間になる部分の改善を地道に繰り返してきた結果、メルカリは他の追随を許さないほどに成長した。
大企業との提携によるメルカリの価値向上は、どのように実現させてきたのか。過去に前例のない取り組みに果敢に挑み、メルカリの非連続的な成長をつくってきた立役者が、BizDev(事業開発)チームだ。
交渉、突破、実行。無いルールは自らつくる
小野:メルカリのサービスはリアルな世界、特に決済や配送との結節点が必要です。お客さまの利便性を向上させ、非連続な成長線を作り出すには、外部企業との連携が必要な局面が多く、そうした事業構造上、メルカリにとってBizDevの存在は欠かせないものです。
ただ、CtoCのフリマアプリを運営するメルカリにとって、決済や配送のキープレイヤーである日本の大企業と戦略的アライアンスやパートナーシップを組むことは、決して容易ではありませんでした。大きな理由としては、CtoCフリマアプリが彼らにとって未知の、新しい業界だったからです。
たとえば決済でいうと、他の業界で決済手段の拡張は、加盟店契約を申し込むというシンプルな営みなので、それの何が難しいの? と思われるかもしれません。だけどメルカリの場合は、パートナー企業側にそもそもの規約などスキームが存在しない。
ですから、パートナー企業を説得してスキームを作るなど、導入交渉自体に前例がない、難しい一大プロジェクトになるんです。
もちろん、相手は大企業なので、スピード感や仕事の進め方、キーマンの特定、人事異動のタイミングなど、組織力学や作法を理解する必要があります。そのうえで、タイミングを図りながら協業で描けるビジョン、夢を語って関係を構築し、プロジェクトを温めていきました。
当然、関係を構築し、ビジョンに共感してもらうだけではダメで、最終的にアライアンスやパートナーシップを成果にしていくために、プランとエグゼキューションをどうするかが重要です。
そこでBizDevがカバーする範囲は多岐にわたります。一義的には、案件の開拓から、座組の検討、P/L影響モデリングと分析、経済条件交渉、契約締結までですが、その先でプロダクトチーム・CS(カスタマーサポート)チームとも一緒に動いていきます。
一般的に企業間でお互いが幸せになる計画と、それを確実に実行していく力を併せ持つことは難しく、それぞれ何かしらを妥協しないと成立しないケースも多いでしょう。でもメルカリの場合、強力に援護射撃してくれるプロダクトチームとCSチームという大きな存在があります。
BizDevで考えたプランには、内製化されたメルカリのCSチームがいたからこそ実現できた、トリッキーな座組みや業務プロセスがありました。
BizDevと共にビジネスプランを実現させていく、プロダクト部門責任者とのミーティング。(写真右:プロダクト部門 執行役員 伊豫(いよ)健夫)
詳しくはお話しできないのですが、ヤマト運輸と「らくらくメルカリ便」を作った際には、メルカリのプロダクトチームと共同で仕様を策定しました。ヤマト運輸は後にそれを商品化して、他企業にも展開しましたが、我々としてはメルカリに最適な仕様を策定できたことで、競合優位性を持てたと考えています。 
このように、BizDevでビジネスサイド全てをカバーしつつ、プロダクトチームの開発能力、CSチームのお客様対応力が一体となって、総合格闘的に進めていく。それがメルカリBizDevの強さだと考えています。
以降、ヤマト運輸との連携は新しいサービスを生み出し、同時に、メルカリに企業としての信頼感も与えてくれました。その成果を、別業界の別企業との提携に活かし、一つひとつレンガを積み重ねるように、提携先を増やしていきました。
大企業とメルカリが提携することで商流が変わり、ビジネスが変わっていく。それを事例として見せられたことはとても大きかったですね。こうして3年弱、私はメルカリのBizDevとして非連続な成長を生み出してきました。
 業界人も唸った、先例のない決済提携
小泉:BizDevはメルカリの決済・配送の根幹を創造してきました。安価で分かりやすい料金設定などでお客さまの満足を実現し、メルカリの収益を支えてきた。競争優位な経済条件と継続的なコスト削減の実現により利益を生み、そして、CSチームと共に匿名配送等で「安心・安全」を作ってきました。
特に、決済のプロジェクトは業界の玄人が唸るような先例のない提携を勝ち取った、素晴らしい事例です。JCBとは業界標準ルールを生み出しましたし、セブンイレブンはCtoCフリマアプリ市場で提携しているのはメルカリだけ。
この提携を結べたのは、win-winなスキームを粘り強く考えて交渉し、プロジェクト遂行の際もディテールまで手を抜かずにやり切ったからこそ。ルールがない、仕組みがないと諦めるのではなく、最適な形を創造してくれました。
BizDevには、引き続き企業価値を向上させるような、先例のない提携を成功させ続けると共に、国内外のサービスや事業そのものの創造、ひいては、広義のCtoCやシェアリングエコノミー全体のバリューアップにも期待しています。
既存にないビジネスを生む、最強のチーム
メルカリのBizDevはこれまで小野氏1人が支えてきたが、最近、3名の新しいメンバーが加わった。深見氏、田北氏、石川氏である。
深見氏はマクロミルの事業開発・R&Dを経て、田北氏は 三井物産、インドネシア通信キャリア(出向)を経て、石川氏は京セラ、DeNA/KDDIコマースフォワードを経てメルカリへジョイン。それぞれ 多彩なバックグラウンドを持ち、前例のないプロジェクトの推進に燃える。
写真左:深見 和樹、中央:田北 浩大、右:石川 佑
田北: インターネットの発達により、今後も「個人のエンパワーメント」がより顕著に進んでいきます。旧態依然としたビジネスモデルや企業の多くが衰退していくと思いますが、一方で社会のニーズを捉え、変わり続ける企業は必ず残ると信じています。
メルカリのBizDevとして、そうした革新力のある企業を巻き込み、働きかけを行うことで、メルカリ単体では実現できないような、より大きなインパクトのある事業を生み出していきたいです。
石川:小野がよく言う言葉に「Have fun(仕事を楽しむ)」がありますが、何より本人がそれを実践していると思います。一つひとつのプロジェクトを作品と呼び、それだけ愛を持って本気で接する姿は、本当に勉強になります。
私は、世の中にはまだ表に出ていない「良いモノ」が隠れていると考えています。その良いモノとエンドユーザーをもっとつなげて、兆単位のマーケットを実現させたいと思っています。
深見:プロジェクトを遂行する際、自分の頭で考えた解だけではなく、自分の「想い」を持つことも求められます。小野はそれを全プロジェクトを横断しながら、俯瞰して考えられていることに、刺激を受けます。
私は、他人に与えられるもの、自分が欲しいものを、摩擦なく瞬時にマッチングできる世界を作りたい。時間的余暇を創出し、ちょっと大仰な言い方ですけど、もう一度、文化芸能のルネッサンス時代を作りたいと思っています。
メルカリを、どう進化させるか
今後もフリマアプリの市場を拡大させ、業界を独走し続けるであろうメルカリ。その力強い駆動力として、BizDevでは新しいメンバーを募集している。
小野:今メルカリには、これまでの提携実績によって、良い「足場」ができ、そこを足がかりにさらに大きなビジネス ができる、とても面白いフェーズに入っています。もちろん、CtoC企業ならではの難しさはありますが、可能性は無限。築いてきた実績を武器に、スタートアップのスピード感で新しいことに挑戦できるタイミングです。
次は、今のメルカリをどう進化させていくか。私はアプリの中だけに閉じた世界から出ていくべきだと思っているので、そうなったときに、どの企業とどんなやり方で提携を組み、既存にはない新しい世界を作っていくかを考えるのが楽しい。
今までのBizDevは、配送と決済がキーワードでしたが、これからはもっと広い領域でビジネスを作れると思っています。
11月27日にサービスローンチした「メルカリNOW」、本日発表した「メルカリチャンネルの法人企業開放」についても、BizDevチームは裏側の仕組みをアライアンス・パートナーシップにより実現しています。現在鋭意開発中のサイクルシェアサービス「メルチャリ」についても同様です。
ここ1年で、メルカリのBizDevには、それぞれに違う強みをもったメンバーが集まり4人のチームになりました。個が能力を活かしてどれだけ動けるかは重要なカギですが、BizDevは個人戦ではありません。交渉の最前線は一対一でも、BizDevはあくまでチーム戦。
とはいえまだ、たった4人でメルカリグループのBizDevを回しています。ぜひ、このチームに参画してみませんか。メルカリのBizDevなら、大きな権限とともに、既存の枠組みを飛び越え、新しい世界の幕を開ける挑戦ができるはずです。
(取材・文:田村朋美、撮影:Atsuko Tanaka、デザイン:砂田優花、編集:呉琢磨)