【急募】人生100年時代の学び方、働き方。政策アイデアを大募集

2017/11/23
11月23日は勤労感謝の日。
NewsPicksでは、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」(国民の祝日に関する法律)というこの日から10日間にわたり、人生100年時代に必要な多様な働き方や、リカレント教育(仕事と教育が循環する原理)」のあり方などについての、「政策提言」や政府の「労働政策に対するご意見」を募集します(下記、アンケートフォームにアクセス頂き、ご入力ください。あるいは、直接、本記事のコメント欄に政策提言やご意見を書き込んでいただくのも、歓迎です)。
アンケートフォームはこちら
いただいた「政策提言」や「ご意見」は、12月18日、開催予定の経済産業省主催の審議会「我が国産業における人材力強化に向けた研究会 必要な人材像とキャリア構築支援に向けた検討ワーキンググループ」の場で、NewsPicksが皆様に代わって発表する計画です。
皆様にお寄せいただいた政策やご意見が、その後の審議会においてどのように審議されたか、実際の政策に生かされたかについては、後日、リポート記事を掲載します。
また、NewsPicksではこの「政策提言募集」と連動し、11月27日(月曜日)から7日間連続で、「人生100年時代の大人の学び」と題する特集を掲載する予定です。

社会人が先進国一、勉強しない国

安倍晋三政権肝いりの看板政策「働き方改革」は、「人づくり革命」という“第二章”に突入。その具体策を検討する「人生100年時代構想会議」が始動しました。
「働き方改革」では、長時間労働の是正に力点を起き、労働基準法に単月で残業は100時間未満にするという罰則付きの規定を新設した。ただし、同じく働き方改革の柱である「同一労働同一賃金」については、本来の考え方のベースである、「同じ職務、責任の人には、同じ賃金を支払う」ことへの実現にはほど遠く、非正規と正社員の待遇格差是正のため、典型的な事例を「ガイドライン」として提示したに過ぎない。
また、厚生労働省は、会社員が副業や兼業をしやすくする「柔軟な働き方」を促進するため、企業が就業規則をつくる際の参考として示している「モデル就業規則」を見直す方針を固めたものの、副業の解禁は長時間労働是正の動きに逆行するとの批判の声も高まっている。
人が100年生きるのが珍しくなくなる時代、「教育を受ける」「仕事をする」「引退する」という従来の3つの人生ステージを送るモデルは通用しない。
ましてや、技術革新や環境の変化が早い時代。今後は、大人になっても新たな技能や知識を習得する教育や、70歳以上まで働くことを想定した多様な働き方が重要だーーとのメッセージで、現在、経産省では今後のリカレント教育や副業・兼業のありかたを審議しています。
しかし、大人も働きながら学び続ける、あるいは学びと働きを一体化するリカレント教育の普及には、大きな課題があります。
現状、日本の正社員は、先進国一といっても過言でないほど、「学び」に挑戦していません。
OECDの2014年の調査によると、25歳以上の短期高等教育機関への入学者の割合は4.6%に過ぎず、最下位をマーク。30歳以上の「修士」課程への入学者の割合も3.2%と低く、イスラエルの53%とは比ぶべくもありません。
なぜ、日本の会社員は勉強しないのか──。
その背景には、新卒一括採用、年功序列、終身雇用という「日本型雇用慣行」があると推察されます。
日本の会社は、新卒一括採用した社員を、社内で「育成」し、定年まで雇用することを基本としています。給与も、仕事の難易度や責任範囲に応じて支給する「役割給」をベースとする会社が増えてきたものの、そこにも年功色は色濃く残っている場合が多い。
また、昇進昇格の基準もあいまいで、自身のスキルを鍛え仕事力を上げることより、社内出世の戦術を駆使したほうが得だ……と、あえて面倒な勉強などする必要は感じない社員が多くなるのは自然なことです。
ましてや日本は、社員の解雇が容易ではないため、自身のスキル開発に熱心にならずとも会社にいられるとの安心感が、「大人の学び」を遠ざけていると思われます。
実際、経産省の審議会でも、ゲストスピーカーの慶應義塾大学特任教授の高橋俊介氏が「日本の会社員はクビになる危機感がないからキャリア意識が低い」と指摘していました。
「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」第2回目の様子。
また、大人の学び直しが広がらないのは、「大人の学び」を提供する大学などのサービス事業者が、「学びを提供しても、就職(あるいは社内昇進)を保証できない」「教える講師がいない」「講座を展開してもスケールしない」などの理由から、社会人向けの講座を拡充しないことも要因の1つになっています。
そこで、現在政府が検討しているのが、大学改革と、インセンティブ制度の設定です。
具体的には、イギリスのように、大学の評価を産業界が行うことも検討し、産業界に優秀な人材をもたらした大学には運営費の交付金を増やすことも視野に入れています。
大学が、社会人に専門知識を教える養成機関になれば、学生も実務能力を評価されて採用されるようになり、新卒採用と中途採用の垣根もなくなる…との期待もあるようです。

日本型雇用システムからの脱却

政府が会社員の「副業解禁」に舵を切り出したことと「リカレント教育」の普及には相関があります。
会社員が自社以外で働くことで、自分の能力は市場でどう評価されるのか、つまり市場価値に敏感になり、そこから得られるフィードバックや経験そのものが学びになるとの狙いもあるようです。
さらに、副業をフックにすることで、会社員がいきなり転職や起業して失敗するリスクを軽減する効果も狙えます。
このように、政府が「大人の学び」や「副業解禁」を推進する背景には、新卒一括採用、年功序列、終身雇用という「日本型雇用慣行」から脱却し、現在460万人いるといわれる「社内失業者」を減らしたいという意図もあるようです。
現在、政府では日本型雇用に風穴を開けると目される「高度プロフェッショナル制度」の創設に向けて動き出す見通しです。
金融機関などで働く専門職で、年収1075万円以上の人たちに限り、労働時間の規制や残業代の支払い対象から外す仕組みで、これにより、会社員が働いた時間ではなく仕事の成果で評価される裁量労働制が広がることが期待されています。
さらに、解雇の金銭解決制度は今後、政府の審議会で検討される予定になっています。
もし、日本型雇用を堅牢に守ってきた労働規制が緩和されれば、会社員が自分のキャリアプランを会社任せにしたり、自身の仕事の能力を高める研鑽を怠る時代は過去のものになる可能性もあります。
経産省主催の「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」では、NewsPicksでもおなじみの「現代の魔法使い」筑波大学学長補佐の落合陽一さんもゲストスピーカーに招き、落合氏が提唱する「Work as life」──今までのように労働して対価をもらうのではなく、好きなことで価値を生み出すスタイル──を1つの指針として掲げています。
労働と休息に境目があるのではなく、仕事も趣味も学びも一体化した生き方——。それを実現するには、政策としてどのようなサポートがあるのがベストか。
それは、兼業副業の全面解禁か、社会人向け大学講座の充実か、サバティカル休暇(学業休暇)の導入か、あるいは日本型雇用システムからの脱却でしょうか。また、それらを実現する具体的な施策とは?
皆様の多様なご意見をお待ちしております。
(皆様から頂きましたご意見や政策アイデアは、記事に転載させて頂く場合があることをご了承ください)。