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DMM亀山会長・独占告白。「CASH」70億円買収の真意
2017/11/22
IT業界を沸かせる、衝撃的なニュースが飛び込んできた。
11月21日、DMM.comは現金化アプリ「CASH」を運営する株式会社バンクの全株式を取得、子会社化すると発表した。買収額は70億円で、DMMとしては過去最大の買収案件となる。代表取締役兼CEOの光本勇介氏と従業員は、引き続きサービスの開発を担当する。
CASHは「目の前のアイテムが一瞬でキャッシュに変わる」をキャッチコピーに、今年6月28日にサービスを開始したスマートフォンアプリだ。ユーザーは売りたい所有物のカテゴリを選択し、写真を送ると、一瞬で評価額が表示され、1000円〜2万円の現金が銀行やコンビニから出金できる。
メルカリをはじめとするCtoCサービスと比較して、さらに気軽に所有物を現金化できることが売りのCASHだが、公開後、想定をはるかに超える申し込みが殺到。サービス開始からわずか16時間で停止に追い込まれる事態となった。
その後、一部のルールを変更し、8月24日にサービスを再開。全ユーザーが1日にキャッシュ化する総額を1000万円に限定するなど、持続可能性を測りながら運営を行ってきた。
一連の経緯は、IT業界を中心に話題になり、CASHは「クレイジーなサービス」との異名を持つようになった。しかし、いくら話題性があるとはいえ、スタートして半年に満たないCASHの運営企業を70億円で買収するのは、明らかに不釣り合いにも見える。
そこでNewsPicksは、今回の買収を決断したDMMの亀山敬司会長に独占取材を実施。亀山氏が「まだまだ赤字」というCASHに70億円を投じた理由、光本氏や片桐孝憲社長への評価、そして今後の事業プランなど、一連の真意に迫った8000字のロングインタビューを掲載する。
パクるか買収するか
──昨日、DMM.comは「CASH」を運営する株式会社バンクを買収することを発表しました。そこに至るまでの経緯についてお聞かせください。
亀山 創業者の光本(勇介)君とは、IVS(ベンチャー経営者のカンファレンス)で一度対談したぐらいで、ほとんど話したことはなかった。
ただ、CASHが今年の夏に話題になったころから、片桐(孝憲DMM.com社長)と「あのサービスは面白い」という話をしていたんだ。
CASHのコンセプトは明快で、「簡単に物が売れること」。どこよりも簡単に物が売れる場を、光本君は作りたいと考えていたみたいだ。
このサービスに可能性があると思った俺は、DMMでパクるか、もしくはCASHを買収することを考えた。そこで片桐に、「ちょっと売らないか聞いてくるわ」と言って、10月に光本君を飲み屋に呼び出したんだよ。
いきなり「CASH売って〜!無理?」とメッセージを送ってね。
飲み会の席で光本君は面食らっていたようだけど、素直に「言える範囲でいいから教えてよ。いまどういう感じなの?」と聞いたら、サービスの中身や今後の構想について教えてくれた。
中には、俺が想定していたこともあったけど、大部分は予想を超えたようなことを話していたね。そして「全部話したんだから、半年はパクらないでくださいよ」と言ってきた。そう言われちゃパクリにくくなるよね(笑)
俺は次第に、彼のことを面白いと思うようになった。そこで改めて「どれくらい出したら、会社売ってくれるの?」と聞くと、「50から70億ぐらいですかね」という答え。俺は思わず「高いな!」と言ったよ。
CASHは1日1000万円ぐらいの買取を扱っているとはいえ、まだほとんど売上も立っていないし、黒字化には程遠い。ブランドだってあるわけではない。50〜70億という数字に、根拠があるようには思えなかった。
でも、彼はマスに向けてサービスを作りたいと言っていた。発想の面白い光本君と、マネジメントのできる片桐とが一緒にやるのも悪くはない。片桐にこのことを話すと、あいつも「買ったほうがいい」という。そこですぐに光本君と3人の場を設けた。
50〜70億の内訳を聞くと「50億ならそれなりに、70億ならフルコミット」と言ってきたので、それは「小さく叩けば小さく鳴り、大きく叩けば大きく鳴る」ってことだねと思い、じゃあ大きいほうがいいからと、その場で70億円出すことを決めた。結局、2回会っただけで決めてしまったよ。
信頼できる人間だと感じた理由
──売上がほとんど立っていない事業に、なぜ70億円の価値があると思ったのですか?
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