あなたは現金派、キャッシュレス派? どうなる日本の決済

2017/11/13
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
11月13日は、フィンテックの専門家で、京都大学教授の岩下 直行(いわした・なおゆき)さんが出演。
岩下さんは、1984年に日本銀行に入行。調査統計局や企画局でエコノミストとして勤務されてきました。情報技術革新と金融の関わりについての研究を15年間続けられ、初代の日銀FinTechセンター長に就任。今年日銀を退職され、現在は京都大学公共政策大学院教授として金融政策を教えていらっしゃいます。
今日は「『カード優遇社会に違和感』を読んで。損しても手間であっても、意地でもクレジットカードを使わない現金族はたしかに多い状況です。」(クレジットカードの読みもの)を題材に、現金決済とキャッシュレス決済の将来像についてお話いただきました。
POINT 1:
最近、映画館や新幹線の予約など、クレジットカードを使わないと用が済ませられない場面が増えてきている。一方、「絶対に現金しか使わない」「カードは持たない」という現金主義の人も依然として多く、徐々に広がる「カード決済社会」、そしてキャッシュレス社会に不満を持つ人の声も聞かれる
「岩下さんは、どちら派ですか?」(サッシャさん)
「私は長年、日本の金融の決済を良くしようという気持ちで仕事をしてきたので、カードを含め、色々な新しいツールを使ってイノベーションを興していこうという立場です。
実は、紙幣を発行しているのは日銀でして、我が社の製品を皆さんにご愛顧いただいているのは大変有難いとは思っているのですが(笑)、それを徐々に減らして電子的な決済に移っていった方が、日本全体のためになると考えています」(岩下さん)
POINT 2:
現金決済は日本の文化?
「現金主義の日本人が多いのは、現金を持ち歩いても安全な社会ということもあるのでしょうか?」(サッシャさん)
「そこは大きいと思います。ただ、現金を持ち歩ける安全な国は、日本だけではありません。日本の場合、昔は、いわゆるツケ払いをする客は『よくない客』で、現金でその都度精算していくれる客が『いい客』だ、という感覚がありました。店舗に電子決済導入に関わる経費負担が軽くなるのが遅くなったこともあり、現金払いがいいことだ、というカルチャーが根付いた…というのが大きいと思います。
一方、つい最近まで現金決済が主流だった中国は、電子決済やモバイル決済が流行し、決済の現場では急速に進展した結果、『もう現金なんて見ません!』となっています。
中国のモバイル決済件数は、アリペイとウィーチャットペイが半々の割合ですが、ほとんどの国民がこういったものを利用するようになるまでにわずか2年間しかかかっていません。
これは、やろうと思えばすぐにできるということだと思います。戦略を持ってやることが大事ではないでしょうか」(岩下さん)
POINT 3:
日本のキャッシュレス決済はこれからも拡大していく
「電子化の良いところは、お金を発行する手間が不要になり環境にも優しい点だと思います。ほかに、物理的なメリットはあるのでしょうか」(サッシャさん)
「電子化が進んだことで、スマートフォンやインターネットを通じて、新幹線の座席の予約や指定が一瞬できるだけでなく、(決済の一連の行為の)追跡も簡単で、レシートの発行や返品などにも対応しやすくなりました。
すでに社会全体が電子化していっているのに、なぜかお金を払うところだけ紙(現金)が残っていることで全体の効率が悪くなってしまっていると感じます。
実は、政府の掲げる『未来投資戦略』でもキャッシュレス決済の拡大は数値目標(『2027年6月までの10年で、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す』)が掲げられています。現状、日本のキャッシュレス決済比率は20%位ですが、現金決済比率に食い込むくらいに拡大しないと本当の改革にはならないと感じています」(岩下さん)
今回のニュースをはじめとした岩下さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
11月14日は、パーソナルトレーナーでデポルターレクラブ CEOの竹下 雄真さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください