(Bloomberg) -- 今期(2018年3月期)の営業利益予想を7日に上方修正したトヨタ自動車は2期連続の減益を回避する見通しとなった。為替や原価低減などが寄与した。電気自動車(EV)や自動運転の普及など自動車業界を取り巻く長期的な環境の変化で開発費などの増加を見込むなか、得意のコストカットで収益性を高め競争の原資を捻出する考えだ。

トヨタは今期の営業利益予想を2兆円と、従来比で1500億円引き上げた。為替変動の影響が650億円あったほか、原価改善や営業面の努力など為替関連以外の要因が850億円と説明。今期の為替前提は1ドル=111円(従来は110円)、1ユーロ=128円(同124円)とそれぞれ円安方向に変更した。ブルームバーグが集計したアナリスト22人の予想平均値2兆676億円は若干下回った。

永田理副社長は都内での会見で、2期ぶりの増益見通しについて、原価改善や営業面の努力が背景にあるとしたうえで、上半期(4-9月期)の営業利益は為替影響を除くと約1100億円の減益で、実力としては「まだまだだ」と説明。自動運転や電気自動車など先端技術の開発・製品化を進める中で関連費用は負担になるとし、「やり通せるだけの原資をいまのうちに稼ぐということで原価改善を非常に重要視している」とコスト改善の歩みを止めない方針を示した。

年3200億円の改善目指す

トヨタの豊田章男社長は今年5月、今期決算が2期連続の減益となると発表した際に「スポーツの世界では連敗になる」と述べ、売り上げが伸びないと何かをやめ、何かを変える決断が必要になるとの認識を示していた。その後、全副社長4人をトップとするタスクフォースを結成し、抜本的な収益改善活動に取り組むなど減益回避への取り組みを続けていた。

永田副社長は製造販売コストの低減などで、「資材動向や市況の変化などを含めると上半期で1700億円ほどの改善努力を積んでいる」とし、年間では「3200億円強の改善努力を積んでいきたい」と話した。
 
同時に発表した7-9月期の営業利益は、前年同期比10%増の5222億円。為替相場が追い風となったほか、原価改善で前年同期比500億円の増益要因となった。ブルームバーグが集計したアナリスト10人による営業利益予想5111億円を上回った。売上高と純利益も市場予想を上回っている。

一方、トヨタは発行済み株式総数の1.5%にあたる4500万株、金額で2500億円を上限に自社株取得も発表した。信託方式による市場買い付けで、取得期間は11月14日から来年3月30日。

クレディ・スイス証券の秋田昌洋アナリストはメモで、今回の上方修正について自社株買いの発表と合わせてトヨタに対する「安心感が増しそう」と指摘。株価に対する印象はややポジティブとした。

 

(決算の詳細やコメントを追加しました.)

記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 佐野七緒 nsano3@bloomberg.net, 東京 ケビン・バックランド kbuckland1@bloomberg.net, 東京 鷺池秀樹 hsagiike@bloomberg.net.

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Yuji Okada yokada6@bloomberg.net, Masatsugu Horie

©2017 Bloomberg L.P.