中東地域でシェア1位のECアプリ「Jollychic」は中国企業だ (出所:Jollychic)

 本連載の後半では、これまで2回にわたり中国ベンチャーと海外との関係を取り上げてきた。「(1)中国ベンチャー業界と海外の歴史」 では、中国ベンチャー業界の立ち上がりに米国を中心とした海外資本の存在が不可欠だったことをお伝えした。「(2) 中国を果敢に攻める海外ベンチャーたち」 では、中国市場で成功を収めている韓国ベンチャーの事例を上げることで、海外ベンチャーが中国市場を攻める際のポイントを明らかにした。

 今回は、残りの2テーマである「(3) 中国ベンチャーから学ぶ海外ベンチャーたち」と「(4) From中国 to海外へ挑むベンチャー」を紹介したい(下記の図を参照)。

(3)中国ベンチャーから学ぶ海外ベンチャーたち

 中国のベンチャー業界の立ち位置は、ここ5年で大きく変化した。アメリカのコピーキャット一辺倒だった頃から、現在はシリコンバレーと並ぶイノベーションの震源地と言えるまでになった。特に、テクノロジードリブンではない、消費者サービスまわりでは、世界で最もホットな実験場になっており、世界から熱い視線を浴びている。

 この記事連載を開始した4カ月前と比べ、日本のベンチャーが中国を見る目も、大きく変化してきたように思う。中国を参考にサービス開発を手がけ、かつそれを公言するのが当たり前になってきた。読者もご存知のこととは思うが、例えばLINEのサービス・施策開発は、WeChatを徹底的に参考にしている。社内には中国事情を追いかける専属チームがおり、週次で開発部門へのレポーティングが行われる。中国のYY(※1)をモデルとしたShowroomや、Taobaoのライブコマースを参考にしたCandeeなど、事業創造のタネを中国から取り込む事例も増えてきた。

(※1)ネット生放送(投げ銭モデル)とゲーム実況のプラットフォームを手掛けるNASDAQ上場企業、時価総額5000億円(2017年10月末現在)