【イベント】マーケティングの形が変わる「DEC」時代の到来

2017/10/24
スマートフォンの普及を機に、「顧客接点のデジタル化」が急激に進んでいる。企業と消費者との間には、多様なチャネルによる双方向のコミュニケーションが求められ始めた。
「デジタルトランスフォーメーション」によって、企業と消費者の関係はどのように変わるのか。これからのデジタルマーケティングに求められる戦略像をひも解く。
デジタルトランスフォーメーションがもたらす、「デジタル」×「アナログ」の双方向コミュニケーションとは。そして11月14日・15日に開催されるイベント「DEC Forum 2017」について、同社常務執行役員の宮澤範充氏に話を聞いた。
企業と消費者との関係は変わった
宮澤:スマホの普及を機に、企業と消費者の関係性は大きく変わろうとしています。私はデジタルマーケティングとECの領域を長く担当してきましたが、インターネット広告の歴史は、いわば消費者への「One to Oneアプローチ」の進化の歴史とも言えます。
最初はグーグルもヤフーも「検索結果に対してバナーが表示される」という、いま見れば単純な仕組みが出発点で、最初はここから始まりました。
宮澤範充(みやざわ・のりみつ)
トランスコスモス 常務執行役員デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括副責任者 兼 AE総括責任者。大学卒業後、日本生命保険入社。その後ITベンチャー企業のCOOとして事業拡大に従事後、サイバーコミュニケーションズへ移籍。2002年トランスコスモス入社、デジタルマーケティング事業立ち上げから営業責任者を経て、現在は統合部門の営業・企画・クリエイティブ責任者を務める。
それが技術の発達と共にターゲティングの精度がアップし、SEMや運用型ディスプレー広告になりというふうに発展していきましたが、つまるところは「適切な相手に、適切なメッセージを届ける」ことを目指して進化しています。
一方、こうした広告テクノロジーは、グーグルやヤフーのような大きなプラットフォームが提供する技術革新が前提でした。プラットフォームを利用することで広告価値は上がっていきましたが、同時に広告主や広告代理店は常に新しい技術の採用を追いかけることになりました。
その影響を受けた最たるものがモバイル対応です。スマホの普及はこうしたプラットフォーマーとの関係性を変化させる大きな波でもありました。ただ従うのではなく、プラットフォームをうまく利用できるようになったのです。
スマホにはLINEやSNSなどの新しいコミュニケーションと、そのプラットフォームが全部入っている。しかも持ち運べるのが大きな特徴です。
スマホの普及が企業と消費者のコミュニケーションの形を変えた。(Wachiwit/iStock)
さらに個人的な利用シーンだけでなくビジネスも同居しているので、その変化のスピードに対応することは非常に難しくなってきています。
多彩な顧客接点をつなげる設計
デジタルトランスフォーメーションへの対応戦略が必要だという認識は、今ではどの企業も持っているのではないでしょうか。
ただ、私はもともとデジタルマーケティングの組織にいましたが、カスタマーセントリックなコンセプトを元に行う各種データ統合やコミュニケーションのデジタル化は、そう簡単ではないと考えていました。
データの扱いだけを考えてみても、まず各チャネルをデジタル化していく必要がある。コンタクトセンターなら、アナログ音声を録音するだけではダメで、音声をデジタル化して格納できなければなりません。
広告なら広告単体ではなく、電話、Web、メール、購買など多岐にわたるコミュニケーションの一部として、つながることを意識してデータを取る必要がある。先を見据えたデータの取り方に変えていかないといけないのです。
個々のチャネルで対応して、ようやくデジタルマーケティングのプラットフォームにデータを格納できるようになる。これでやっと本来実行すべきOne to Oneマーケティングやサポートを行う土壌が整います。
トランスコスモスによる「DECAds」は、チャネル統合型コミュニケーションをワンストップで提供する。
その結果、顧客満足度をアップさせることによって企業にとってのメリットにつながるというふうに、段階がある。決して一足跳びに進むものではありません。
例えば先進企業ではデータの整理もできてきて、プラットフォームの導入も進んでいます。次はこれをどのように活用していくか、シナリオを作り、さらに関係者間で方向性の共有が正しく行われているのか可視化するフェーズに進んでいます。
しかし、各部門の置かれた立場によって事情は異なります。わかりやすい例としては、コスト部門と販促部門では、予算の活用方法やKPI/KGIが大きく違います。
つまり、1人のユーザーに対して、対応する組織や指標も異なる。ですからデジタルトランスフォーメーションに対応した組織作りは、簡単ではない。
企業がデジタルトランスフォーメーションしていくなかで、先んじてコミュニケーションチャネルの統合を進めている私たちのDEC事業だからこそ、お手伝いできることは多いのではないでしょうか。
変わるコミュニケーションの形
そうはいっても、企業のデジタル対応が遅々として進まない理由は、デジタルトランスフォーメーションの必要性を本気で感じていないからでは、という見方をされる方もいます。
しかし私は「何から始めていいのかがわかっていない」というのが実態ではないかと考えています。かつてマーケターがダイレクトメールをこぞって配信していた頃が同じような図式です。
最初は安価なメール配信ツールを使ったり、BCCで送っているところもあるなど、まずは手弁当で始めてみます。しかし、誤配信の発生やパーソナライズされたメール配信ができないなど、うまくいかなくなってから、本格的なツールの価値が理解されるようになった経過があります。
たとえばチャットも同じようになっていくのではないかというのが、私の見立てです。コンタクトセンターを見てみると、電話とチャットの両方に対応したシステムを導入し知見をためていくことが重要だとわかります。
デジタル化が進むと、コンタクトセンターは衰退するのではという質問をされることがあるのですが、実はトランスコスモスでは毎年伸びている事業です。お客様には電話が心地いい人と、チャットが心地いい人がいるので共存すると思います。
コミュニケーションがデジタル化する一方、アナログなコールセンターの需要は根強い。(btrenkel/iStock)
ウェブサイトも、かつて多かった大規模リニューアルが減ってきています。スマホ中心の考え方の浸透やCMSの発達、スピード重視の小規模改修が増え、各ページを個別に最適化できるようになってきている。
One to Oneにマーケティング活動を行うことになると、コンテンツも個別に用意することが求められるなど、以前とはウェブサイトの使い方が違ってきている背景もあるからです。
どの企業も、最終的に行き着くのは消費者とダイレクトにつながるOne to Oneマーケティングやデジタルコミュニケーションを通じて、企業のファンになってもらうことではないでしょうか。
個人的な予測では、その実現までおそらく3年程度。割と早いうちに進行するように思います。これまでの広告の効率性に限界を見て、危機意識を持っている方はいます。積極的な企業が登場して事例を示すようになると、後追いする企業は多いでしょう。
まだ最終形には至っていないものの、事例はもう出始めています。例えばチャットで接客されたほうがいいかどうか、仮説の検証結果も出てきています。
CtoCに比べれば、BtoCのやりとりはいまだにアナログが大半を占めています。トランスコスモス=コンタクトセンターという印象をお持ちの方が多いようですが、圧倒的な量のお客様の声を聞いてきた実績の裏付けだと思います。DEC事業として、そのお客様の声は宝です。
One to Oneマーケティングに不可欠なお客様の声を聞く力はコールセンターで養い、そしてデジタルマーケティング事業を大規模で展開し、ECワンストップサービスを掛け合わせて日本のみならず海外でも実績を重ねてきました。
この3つをこの規模で企業の戦略的パートナーとしてワンストップに実行に移せるのが、トランスコスモスの強みであることは間違いありません。
一筋縄ではいかないデジタルトランスフォーメーションにおいても、構想からオペレーションまで一貫して支えていく覚悟を持ち、知見の蓄積に力を注いでいます。DECが誕生した理由はここにあるのです。
(構成:加藤学広、撮影:岡村大輔、編集:呉琢磨)