【実録】AIの「カンブリア爆発」を制するのは、誰か
2017/10/17
低迷期を抜け出した
私たちは最近では、コンピューターに多くのことを期待している。
人間に話しかけ、顔から花まで何でも認識し、そしておそらくもうすぐ自動車の運転もするようになる。こうしたタスクを担う人工知能(AI)は莫大な処理能力を必要とし、最新機器でさえ追いつかないほどだ。
こうした需要の高まりを受け、世界最大規模の複数のIT企業は今、バイオロジーからヒントを得ようとしている。
コンピューターの本質を見直し、人間の脳のような働きをするコンピューターを開発しているのだ。人間の脳は、脳幹が指令中枢となって神経系を監督し、その周囲にある大脳皮質が聞くことや見ることなど特定のタスクを担う。
何年もの低迷期を経て、コンピューターはいま再び進化を遂げている。
この新しいタイプのコンピューターへの移行は、広範にわたり長期的な影響を及ぼすものになるだろう。AI開発を加速させ、自らの力で現実世界で作動するというコンピューターの夢が実現するのだ。
この流れはまた、半導体の開発と製造を長らくけん引してきたインテルの勢力を減退させ、iPhoneをインターネットにつなぐデータセンターからVR(仮想現実)ヘッドセット、ドローンまですべてのテクノロジーの中核を成す3350億ドル規模の半導体業界を根本から変える可能性すらある。
インテルの時代が終わる
「これはとてつもなく大きな変化だ」
スタンフォード大学の元学長で1990年代半ばにコンピューターデザインに関する権威ある著書を執筆したジョン・ヘネシーは、こう話す。ヘネシーは現在、グーグルの親会社アルファベットの取締役を務めている。
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この連載について
半導体が「新時代」に突入しようとしている。日本では、東芝の半導体メモリの売却ばかりが取りざたされるが、世界では今、コンピューティングの世界を揺るがす半導体の地殻変動が起きている。AI、IoTを時代を迎える中で、半導体の世界はどこへいくのか。その最前線をリポートする。
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