[東京 13日 ロイター] - 日銀が13日公表した主要な市場参加者を対象にしたアンケート調査によると、短期市場の機能度が「低下した」との回答割合が17%となり、マイナス金利導入で6割に達した昨年の前回調査から低下した。市場機能の急速な悪化には歯止めが掛かったかたちだが、マイナス金利政策が継続する中で、「改善した」との割合も低下している。

同アンケート調査は毎年1回実施しており、対象は日銀の金融市場調節先を中心に主要生損保などを含む。今回は303先に対して行われ、全社から回答を得た。調査基準時点は7月末。

前回調査では、昨年1月のマイナス金利導入を背景に短期市場の機能度が「低下した」との回答割合が61%に達し、導入前の2015年調査の23%から急上昇していた。今回、17%に低下したことで、市場機能の悪化ペースは鈍化したといえる。

もっとも、「改善した」との回答は9%にとどまるとともに、前回の11%から低下しており、マイナス金利政策自体が継続する中で市場機能の大きな改善は見込みづらい状況だ。

短期市場の取引残高(回答先の合計)は、資金調達サイドが251兆円、運用サイドが207兆円となり、それぞれ前回の216兆円、182兆円から増加した。前回調査では、マイナス金利の適用を避けるために銀行が資金調達を手控えたり、投資家が運用を抑制する動きが見られ、調達・運用の双方で残高が減少していた。

日銀は、マイナス金利導入にあたって当座預金残高を3層に区分し、それぞれにプラス0.1%、ゼロ%、マイナス0.1%の金利を適用している。日銀では、取引増加の背景について、マイナス金利に対応したシステム整備の進ちょくや、導入後の時間の経過などで「当座預金の3層構造を利用した裁定取引」が拡大したと分析している。

(伊藤純夫)