最初の資金調達ラウンドにCEOも出資

保険ブローカー向けのソフトウェアを手がける英企業プレムフィナ(PremFina)が、3600万ドルの資金を調達した。創設者でシリアル・アントレプレナーのバンディープ・シン・ランガーCEOが事業拡大を目指すなか、同社が実施した初の資金調達ラウンドだ。
ブルームバーグが最初に報じた今回の資金調達ラウンドは、株式および社債投資を通じて行われたもので、日本の楽天のベンチャーキャピタル部門である楽天キャピタルや、資産家のティム・ドレイパーが共同創設した英ドレイパー・エスプリなどが参加したと、業界筋は述べている。
その他の投資家には、露エメリー・キャピタル、米国のファンドであるルビコン・ベンチャー・キャピタルとトムベスト(Thomvest:トムソン・ロイターの経営権を握る一族に属するピーター・トムソンによるベンチャーキャピタル会社)、タリス・キャピタル(Talis Capital:元石油トレーダーのボブ・フィンチが共同創設した企業)が含まれる。
また今回はランガーCEO自身も資金を投じ、引き続きプレムフィナの経営権を握る。ラウンドの最終調達額は、他の投資家によって年内にさらに引き上げられる可能性がある。
ランガーCEOは「イギリスの保険と金融にイノベーションをもたらすことに賛同が得られた」と述べている。「当社のソフトウェアは、世界展開を念頭に開発されている。ブレグジット後に世界がとりうる方向性を考えた場合、これは特に重要なことだ」

「プレミアムファイナンス界のウーバー」を名乗る

ロンドンを拠点とするプレムフィナは、保険ブローカーと顧客を結び、ブローカーが顧客への融資枠を拡大するための融資契約を提供するソフトウェアを手がける。
ランガーCEOはこれを、運転手と乗客を結ぶウーバー・テクノロジーズのビジネスになぞらえ、自らのスタートアップを「プレミアムファイナンス(保険料融資)界のウーバー」と呼ぶ。
楽天キャピタルのマネージングパートナーを務めるオスカー・ミエルは「楽天は、保険顧客層の拡大を推進し、手頃な保険へのアクセスを提供するプレムフィナのビジネスモデルに、優れた成長のポテンシャルを見いだしている」と述べた。
「プレムフィナの革新的ビジネスがイギリスおよび世界で成長するのを支援できてうれしく思う」
プレムフィナの競合企業としては、イギリスに拠点を置く保険プレミアムファイナンス提供業者であるプレミアム・クレジット(Premium Credit)などがある。プレミアム・クレジットは2015年、投資会社シンヴェン(Cinven)によって4億6200万ポンド(6億1200万ドル)でバイアウトされた。
なお、調査会社CBインサイツによると、保険テック系のスタートアップが2016年に調達した資金総額は約17億ドルと、前年に比べて37%減少している。
(協力)Michael Hytha
原文はこちら(英語)。
(執筆:Manuel Baigorri記者、翻訳:高橋朋子/ガリレオ、写真:eclipse_images/iStock)
©2017 Bloomberg News
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.