DJ-[訂正]米企業、すぐに人員拡大を迫られる見通し
2013/09/09, ダウ・ジョーンズ
(ダウ・ジョーンズ)米国の企業は雇用を大幅に抑制してきた。だがすぐに、それでやりおおすわけにはいかなくなるかもしれない。
米労働省が6日発表した雇用統計はさえなかった。8月の雇用者数は前月比16万9000人増加し、伸びはエコノミスト予想に一致した。しかし、過去2カ月分の雇用者数が下方修正され、増加幅は当初発表から7月が5万8000人、6月が1万6000人引き下げられた。
8月の失業率は7.3%と、7月の7.4%からやや低下したが、これは雇用創出によるものではなく、労働参加率が低下したためだ。
ただ投資家からすれば、必ずしも悪い結果ではなかった。雇用拡大の鈍化がうかがえるため、連邦準備制度理事会(FRB)は今月17~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、債券買い入れ縮小の決定を先送りするか、あるいは少なくとも縮小幅を小幅にとどめる可能性がある。
しかも、3カ月平均でみた雇用者数の伸びは14万8000人で、景気回復の先行きが危ういようにも思えない。6日の金融市場では、ダウ工業株30種平均が小幅反落、10年物米国債利回りはやや低下した。
雇用統計は軟調だったものの、景気は改善の兆しを見せている。米サプライ管理協会(ISM)が先週発表した8月の製造業景況指数と非製造業景況指数はいずれもエコノミスト予想を上回った。一方、8月の自動車販売は単月ベースで2007年以来の高水準に達し、今や自動車メーカーは需要に追いつくために生産を拡大する必要があるかのように見える。
企業にとって、既存の労働者で間に合わせることは徐々に厳しさを増しているようだ。新たな設備投資を行ってこなかったため、従業員にこれまで以上の出来高を期待するのは難しくなっている。米労働省が5日発表した4-6月期の非農業部門生産性(時間あたり生産高)は前年同期比でわずか0.3%の上昇にとどまった。
足元であまり解雇が行われていないことからも、企業の人員拡大の必要性が推察される。失業保険新規申請件数は8月31日までの週で4週移動平均が32万8500人となり、07年10月以来の低水準を記録した。
8月の雇用統計では労働時間も増加し、民間雇用者の労働時間は0.4%増となった。雇用者1人あたりの労働時間を変えずにこれと同じだけの時間増を確保するためには、民間企業は人員を46万4000人増やす必要があった。実際の増加人数は15万2000人だった。
一方、企業が新規雇用を手控えてきたのも無理からぬことだ。ここ数年、景気、財政および規制環境をめぐる不透明感が強いため、企業は従業員を増やすことに一段と及び腰になっている。
また当然ながら、労働コストを抑えれば潤沢な利益率を確保できることから、株式を公開しているかどうかにかかわらず、採用凍結はどの企業にとっても好都合だった。株主の満足度を上げ、より贅沢な休暇も可能になる。
これまではそうだったが、景気回復の兆候が広がるなか、企業はそのうち人員拡大に動かざるを得なくなるだろう。労働市場の堅調さは、FRBが債券買い入れ縮小を開始する決め手となるほどのレベルにはまだ達していないかもしれないが、すぐにそうなるとも考えられる。
Copyright (c) 2024 Dow Jones & Company, Inc. All Rights Reserved.
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題