ビジネスブック・オブ・ザ・イヤーの最終候補

1年の最終四半期というのはしばしば、仕事とプライベートの目標達成に向けて猛ダッシュする時だ。
だが、クレイジーなほどせわしない日々を埋め合わせてくれるものが提供される時でもある。この時期には、それまでの1年間で登場したなかから、必読の本や見逃せない映画、時代を変える報道などのベストランキングが発表されるのだ。
手始めとして、今シーズン最初(かつベスト)の「選りすぐりのもの」リストがこのほど発表された。マッキンゼー・アンド・カンパニーと英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が選んだ「ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー」の最終候補だ。
毎年、マッキンゼーとフィナンシャル・タイムズによって選ばれた選考委員たちが、その年の良書を吟味し、10冊余りの候補を選ぶ。そしてさらに最終候補として半分まで絞り込み、その中から「ベスト・オブ・ザ・イヤー」の1冊を選出するのだ。
以下に、最終候補となったビジネス書6冊をご紹介する。
今年の選考委員は、フィナンシャル・タイムズのライオネル・バーバー編集長、モジラ・コーポレーション(Mozilla Corporation)のミッチェル・ベーカー会長、アリアンツ(Allianz)主席経済顧問モハメド・エラリアンなど、錚々たるメンバーが務めている。大賞は11月6日に発表予定だ。

1.『The Spider Network』David Enrich著

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の編集者デイビッド・エンリッチによる「LIBORスキャンダル」(2012年に発覚した主要な指標金利LIBORの不正操作事件)の詳細。「複雑な金融問題を取り上げているが、スリラー小説のように読みやすく書かれている」と、Business Insiderは称賛している。

2.『Janesville』Amy Goldstein著

昨今の米国ではなぜ、生計を立てるのに苦労している人がこれほど多いのだろう。ワシントン・ポスト紙の記者エイミー・ゴールドスタインは、ゼネラル・モーターズ(GE)が最近工場を閉鎖したウィスコンシン州ジェーンズビルに赴き、調査を行った。

3.『Adaptive Markets』Andrew W. Lo著

市場は合理的か非合理的か。マサチューセッツ工科大学(MIT)のアンドリュー・ロー教授は、経済学者たちが議論する永遠のテーマを取り上げた。Amazonによれば本書は、合理性と非合理性が共存する新しいフレームワーク「適応的市場仮説」を提案している。

4.『The One Device』Brian Merchant著

ウェブマガジン『Motherboard』の編集主任ブライアン・マーチャントが、iPhone発売開始10周年を記念して、世界を変えたiPhoneの開発裏話を披露する。

5.『Reset』Ellen Pao著

クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ(Kleiner Perkins Caufield & Byers)のベンチャー・キャピタリストだったエレン・パオが、会社を相手取ってセクハラ裁判を起こして敗訴した、話題の事件について回想する。
著者はウェブマガジン『The Cut』に、この事件に関する長文の記事を書いている。

6.『The Great Leveler』Walter Scheidel著

スタンフォード大学の歴史学者であるウォルター・シャイデルは、世界中の所得格差の歴史をたどり、楽観的とは言えない結論を導き出している。
所得格差があまりに大きいと、たいていそれは暴力につながると著者は警告する。今日の巨大な所得格差は、今後どのような展開を生むのだろうという不安をかきたてられる1冊だ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Jessica Stillman、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:Minerva Studio/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.