[ロンドン 4日 ロイター] - 米格付け会社S&Pは、英経済に早期利上げが必要かどうかは「やや疑わしい」とし、利上げが近づいていることを示唆するイングランド銀行(英中央銀行)当局者らの発言は、ポンド相場を押し上げてインフレを抑制することが目的ではないかとの見方を示した。

S&Pのアナリストはリポートで「中銀とカーニー総裁の最近のコメントは主として、輸入インフレ圧力の軽減に向け、ポンドを押し上げる狙いがあるのではないか」と指摘。

「この戦略には11月の25ベーシスポイントの実際の利上げが含まれる可能性がある。経済の減速を考えれば、2018年の追加的な措置については必然とは言えないもようだ」との見方を示した。

英中銀は先月、インフレ上昇圧力が強まっていることから、金融政策委員会(MPC)メンバーの大半が「数カ月以内に」利上げが必要になると考えていると指摘、投資家を驚かせた。英インフレ率は既に中銀目標の2%を上回っており、近い将来に3%に達すると見られている。

S&Pは、インフレ調整後の所得が減少していることを指摘。最近の統計を踏まえ、第3・四半期の英経済について弱気の見方を示した。

英中銀の報道官は、S&Pのリポートについてコメントを控えた。

また、欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感を受け、英国で企業の投資が鈍化している兆しがみられると指摘した。

S&Pは「資本や海外直接投資を含む、英企業の中長期計画の調整は来年に向けて、経済への影響がより大きくなるとみている」とした。

S&Pは、EU離脱で2年程度の移行期間を設けるとするメイ首相のコメントを歓迎。一方で「将来の関係の在り方について(英国とEU)双方が合意するまでは、不透明感が続くことになる」と警告した。

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