中国のビットコイン規制によりマイナーがASICとGPUを売却開始

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中国のビットコイン規制によりマイナーがASICとGPUを売却開始

本稿では先日公開した中国のビットコインマイナーが現在直面している問題と中国の最新動向についての追記と、マイナーの動向に着目した記事となります。

マイナーの現在の問題については下記記事を参照してください。

もし中国人がビットコインのマイニングを辞めた際の大きな影響

 

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1.中国の電気代は世界トップレベルに安い

下記表を見て比較すると一目瞭然であり、日本と比較した際は約8分の1という電気代の中国。これは前記事で説明した様に中国でビットコインとマイニングが盛んな理由の一つです。

 

 1kW/hの電気代Antminer S9
14TH/s (1,372W)
Antminer T9
12.5TH/s (1,576W)
Antminer R4
8TH/s (854W)
Antminer L3+
504MH/s (800W)
中国約4円131.712円151.296円81.984円48.384円
インド約7円(最安0.1円)230.496円
264.768円
143.472円84.672円
アメリカ約12円395.136円453.888円245.952円145.152円
アフリカ約15円493.92円567.36円
307.44円181.44円
イギリス約22円724.416円832.128円450.912円266.112円
ドイツ約25円823.2円
945.6円512.4円302.4円
日本約30円987.84円1134.72円614.88円362.88円
デンマーク約33円1086.624円1248.192円676.368円399.168円

 

マイニングコストの詳細は下記を参照してください

現在の中国のビットコイン事情と高騰暴落の危険性

1-2.中国の電気代が安い理由

Key world energy statistics 2017の調査によると世界の一次エネルギー供給量(以下TPESとする)は米国のシェールオイルの影響か、1位であった石炭を抜き石油が1位となりました。

1.2015年の世界TPES割合

 

そんな中マイニング大国である中国はTPES世界1位の発電大国でもあります。

2.2015年の世界TPES比率

 

1-2-1.豊富な化石燃料を保有する中国

中国はビットコインをはじめとする仮想通貨のマイニング大国であるとともに化石燃料の”採掘”も同様に世界トップで、化石燃料による発電も世界トップとなっています。2014年には全体の発電容量の実に77%の割合をしめていました。

3.2016年の国別石炭生産

1-2-2.中国は水力発電もトップシェア

中国は水力発電でも世界トップであり、世界第2位から比較すると3倍の発電能力があることがわかります。

3.2015年の世界の水力発電量

化石燃料による発電は深刻な大気汚染を引き起こしており、中国は環境に優しい水力発電に力を入れています。ですがこの大量の電力発電による電気代の安さは工業ではなくビットコインマイニングへと使用されるとは予想だにしなかったことでしょう。

1-2.加速する水力発電

イギリスに本部を持つ国際水力発電協会のIHAの2016年の調査によると中国は10年連続で水力発電にに力を入れており、2015年には19,370MWの新規水力発電容量(揚水発電を含む)を追加し、中国の水力発電容量は320GWに達しました。

対して日本は232MWで世界16位となり、中国は約83倍となっています。

中国の水力発電

1-3.水力発電を利用したマイニングファーム

ビットコインを代表とするコンピュータの演算処理能力をネットワークに提供し、その対価としてビットコインなどを得ることのできるProof of Workは大量の電気を必要とします。これは膨大な演算と電気を必要とする代わりに約7兆円のビットコインセキュリティを確保しています。マイナーは電気代という一番のネックに対し、少しでもアドバンテージを取るため、政府が取り組む水力発電を利用していると言われています。

1-3-1.ダムの横にそびえ立つマイニングファーム

数多くある中国のビットコインマイニングプールの一つであるHaoBTCはダムの上にある水力発電所の横にそびえ立ち、近くの量販店には最低10kmは離れてるというマイニングファームです。

Coindeskのライターによると、HaoBTCのマイニングファームまでは最寄りの空港から8時間の運転をしいくつものトンネルと橋を超えてようやく辿り着く場所にあると述べています。

HaoBTC

Copyright © Coindesk

1-3-2.川を利用した水力発電と冷却設備を備えるマイニングファーム

中国のフォトグラファーLiu Xingzhe氏が取材をした四川省のアバ・チベット族チャン族自治州山奥にあるマイニングファームでは、ダムではなく川に隣接する水力発電施設の隣にマイニング施設があるという(青い屋根の建物)

四川マイニングファーム

Copyright © qz.com (Liu Xingzhe/ChinaFile/EPA)

この施設では水冷システムを導入しており、ビットコインASICから発せられる膨大な熱を冷却しています。

中国の水力発電マイニング施設Copyright © qz.com (Liu Xingzhe/ChinaFile/EPA)

2.中国政府によるビットコインマイニングへの補助金

合コンでいきなりビットコイナーカミングアウトしてみたビットコイナー反省会などで有名なKoji Higashiさんから下記の様な情報をいただきました。

この件についてイーサリアム・ジャパンは中国科学院のDr.Eric Zhao氏へインタビューを行いました。

2-1.先端技術に対する支援金

中国では上記の様に世界トップの発電力を持ち、そのため電気代も安いということがわかりました。政府はこの大量の電気を規制することにより、実質的な支援をしていると言われています。

Eric氏によると

「データセンターなどのクラウドコンピューティングなどが分類されるハイテク分野において、中国政府は支援金制度を幾つか設けています。実際にマイナーはこのプログラムを申請し受理されたことがあるという事例を数件聞いていますが、地方行政が後に調査を行ったところクラウドコンピューティングではなく、ビットコインマイニングの利益を得るために使用していた事が判明しキャンセルされました。」

と述べており、実際の発電力による電気代の安さと”コネ”により得ることのできる安い電気のみであり、支援金という形を政府からは受けることができないというものでした。

*追記:項目2の題名である「中国政府によるビットコインマイニングへの補助金」とは度々上がる噂であり、事実ではありません。本稿ではEric氏へのインタビューにより”その様な事実はない”と否定しています。一部目次のみを見て誤解が生まれている様ですが、イーサリアム・ジャパンも同様に否定しています。

2-2.イーサリアムベースの中国元トークン

中国はフィンテック分野において大きな成長を見せており、PBoCはイーサリアムを使用した中国元トークンを発行するテストを行っていました。もし補助金がでるとすればブロックチェーン関連の実証実験を行うための施設などには可能性があると考えられます。

詳細は下記を参照して下さい。

現在の中国のビットコイン事情と高騰暴落の危険性

3.中国のビットコイン マイナーが撤退を開始

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中国では数日前からマイナーが撤退をはじめたと大きな話題を呼んでいます。Eric氏によると、日本でいうヤフオクの様な中古市場に大量のGPUが出品され、イーサリアムやZcash、モネロなどのマイニングに使用するNvidiaのハイエンドグラフィックボードGTXシリーズなどが大量に出回りはじめ、「マイナーはマイニングから撤退をはじめている」と言われています。

マイナーが撤退する理由は下記を参照してください。

もし中国人がビットコインのマイニングを辞めた際の大きな影響

3-1.GPUマイナーの撤退

Nvidiaの新アーキテクチャPascalを使用したGTXシリーズはZcashのマイニングGPUとして有名です。イーサリアムのマイニングの場合、イーサリアムマイナーはOpenCLで実装されており、AMDのRX400、500シリーズがもっとも効率がいいとされており両者は住み分け(現在ではイーサリアムのCUDAマイナーのアップデートにより大きな差はなくなりました)されていました。

 

マイニングリグについては下記を参照してください。

イーサリアムのマイニングリグを正しく構築する

3-1-1.Zcashとイーサリアムへの影響とハッシュレート分布

ここでZcashのハッシュレート(ソルレート)を確認するとこのニュースが入ってきた週末にはピークの300MH/s一時的に250MH/sを下回っており、マイナーがリグを停止させたであろうその前に下落しています。

zcash hashrate

Copyright © 2017 CoinWarz

その後は回復を見せていますが、これはイーサリアムが時期大型アップデートとなるメトロポリスへ安全に移行するためのディフィカルティボムによる影響でハッシュパワーに対して指数関数的にブロック生成が難しくなる影響により、一部マイナーが流れてきているのではないかと考えられます。

イーサリアムのハッシュレートを確認すると顕著な増加を見せていたハッシュパワーが100TH/s前後から緩やかな上昇となっていることが確認できます。

 

ethereum hashrate

ディフィカルティボムについては下記を参照してください。

ディフィカルティボム

3-1-2.ほぼ新品のGPU

売り手の説明によると99.9%ほぼ新品であり、合計で200枚に上るGPUを販売したいとしています。マイニングリグは下記画像の様に、通常6枚前後のGPUを搭載するためリグ数は30を超えるため個人マイナーとしてはかなりの数となります。

Copyright © ethereum-japan.net

 

またEric氏によると、この出品者だけではなく中古マーケットには”大量”のGPUが出回っていることが確認されており、中国マイナーが撤退をはじめているということがわかります。

価格帯は100ドルからで、通常7万円から8万円はするNvidia GTX1080でさえ半額以下の300ドルです。更にこの価格は”値下げ交渉”が可能であり、今後撤退が続き中古GPUが値崩れする前に売りたいというマイナーの焦りが感じられます。

 

3-2.ビットコインASICの売却

ビットコインはその昔、凡庸パソコンでも問題なくマイニングが可能であり、一般人が簡単にマイニングをすることが可能でした。ですがビットコインマイニングに特化した集積回路、通称ASICの技術発達によってビットコインのハッシュパワーは大きく飛躍。このASICの製造を手がける中国のBitmainは世界の70%のシェアを獲得していますが、同様に大きな問題に直面していると言えるでしょう。

mining farm

Copyright © qz.com (Liu Xingzhe/ChinaFile/EPA)

中国では電気代の安さからマイニングプールは数千機のASICを導入しており、Bitmain社の大きな収入となっています。

 

Eric氏によると中古市場に出回っているのはGPUのみならずASICも同様に売却されようとしていると述べています。これによりASICとGPU価格が暴落するとBitmain社が所有するビットコインマイニングプール”Antpool”まで影響が出て来る可能性があります。更に同社はDASHマイナーとなるAntminer D3を販売したばかりであり、売上にも影響があるのではないかと考えられます。

 

またもし中国がマイニングを規制または禁止するとASICのテストなども容易でなくなるため、必ずしも中国勢が撤退するということは利点のみではないということです。

4.中国のマイナー撤退の結論と考察

本項で取り上げた水力発電と水冷を利用としたマイニングプールは他のマイニングプールよりは月のランニングコストは低いと考えられます。

Antminerを3000台所有し、サーキュレーターなどで冷却を行うマイニングプールは月に900万円のコストがかかります。主なコストは電気代ではありますが、山奥で経営をするということ、更には大量の熱を排出するという点から24時間体制での監視に人件費を必要とします。これらのことから大小様々なマイナーの撤退は当然であり、今後の中国動向を慎重に見守る必要があるでしょう

この報道の影響かビットコイン価格は下落は400ドル前後の下落を記録しています。

bitfinex

 

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