[東京 20日 ロイター] - 東芝<6502.T>は20日、同日午前開催の取締役会で、半導体子会社「東芝メモリ(TMC)」の全株式を、米系投資ファンドのベイン・キャピタルが主導する企業連合により組成される買収目的会社に売却し、同買収会社との株式譲渡契約を締結することを決議したと正式に発表した。

譲渡金額は合計約2兆円の予定。近日中に契約するとしている。

10月下旬に開催予定の臨時株主総会での承認や、各国における競争法審査など必要な手続きを経て、来年3月末までの売却完了を目指す。

年度内に売却が完了した場合、想定される課税影響を加味しても、売却益を得ることで自己資本を約7400億円押し上げる効果を見込む。東芝は6月末時点で5042億円の債務超過だが、TMCの売却が年度内に完了すれば、債務超過を解消できる見通しとしている。

買収目的会社には、東芝自身が3505億円を出資する。発表資料にはベインを除き企業連合への参加社名の記載はないが、韓国半導体大手SKハイニックス<000660.KS>のほか、アップル<AAPL.O>やデル[DI.UL]など米有力IT企業、東芝以外の日本企業が参加する。

また、産業革新機構と日本政策投資銀行が、買収目的会社に将来的な資本参加の検討を表明する意向だという。

これらの企業が普通株や普通株に転換可能な優先株、普通株への転換権のない優先株の引き受けを通じて資金拠出するほか、買収目的会社が金融機関から融資を受ける。買収スキームの詳細については株式譲渡契約の締結後、明らかにするとしている。

TMCの買収を巡っては、三重県四日市市でのメモリー生産で協業する米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>が、同意のないTMC売却に反対し、5月に国際仲裁裁判所に売却差し止めを申し立てた。

東芝は、仲裁審でWDによる差し止め請求が認められた場合であっても、今回のTMC株譲渡は履行可能としている。

その根拠として東芝の広報担当者は、WDの子会社サンディスクとの合弁会社の株式をTMCから東芝本体に戻している点を挙げる。

ただ、WDは合弁会社株の扱いをめぐる東芝側の主張を認めておらず、仲裁審で東芝の言い分が認められるかどうかは不透明といえそうだ。

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(浜田健太郎 編集:田巻一彦)