[ロンドン 14日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は14日、経済やインフレ圧力の拡大が続けば、今後数カ月内に政策金利を引き上げる公算が大きいとの見解を示した。利上げが近付いているとのシグナルをこれまでより鮮明にした。

この日の金融政策委員会(MPC)では政策金利を0.25%に据え置くことを予想通り決定した。

据え置きの決定は7対2だったが、目標を上回るインフレ率への忍耐は低下しつつあり、すべての委員が市場の予想より早期に利上げする可能性があると考えていることが示された。

中銀の発表後、英ポンドは対米ドルで1年ぶり高値に上昇。市場が織り込む年内利上げの確率は50%を超えた。

中銀は「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数カ月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」と説明した。

また、カーニー総裁はテレビインタビューで、自身を含めMPC委員らが、経済に対するリスクのバランスは欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の影響からインフレ加速にシフトしていると考えているとし、利上げの可能性は「確かに高まった」との認識を示した。

野村のエコノミスト、ジョージ・バックリー氏は「11月の利上げはあり得る」と述べた。一方、インフレや雇用、賃金関連の指標が予想を下回ったり裏切る内容となれば、中銀は軌道修正を余儀なくされる可能性も残るとした。

エコノミストの間では、年初来の成長鈍化やブレグジットを巡る不透明感を踏まえると中銀は利上げを急がないとの見方も根強い。

実際、中銀はこの日、ブレグジットを含め今後の見通しには「かなりのリスク」があるとの認識を示した。

経済状況は先月の予想より若干改善が進み、インフレは10月に3%を超えるとの見通しを示した。これは従来の予想をやや上回る水準。8月のインフレ率は2.9%だった。

前年比2.1%の賃金上昇率については、大半のエコノミストがなお弱いとみているのに対し、中銀は、より短期的にみれば年換算3%のペースで上昇していると分析、統計では実際よりも賃金が低く表れている可能性もあると指摘した。

中銀はさらに、インフレが重しとなって年初に低迷していた個人消費がこのところ上向いている可能性があるとの認識も示した。

ただ、中期的に国内総生産(GDP)成長の加速がどのくらい続くかは不透明で、ブレグジット交渉に対して家計や企業がどう反応するのかも不明だとした。

メイ英首相は来週、ブレグジットについて演説を行い、首相率いる保守党は10月に党大会を開く。メイ氏は10月、EU首脳会議にも出席する。

シティのエコノミストは、利上げまでの道のりにはなおハードルがあるとし、「そうしたイベントを景気信頼感への大きな影響なく通過し、インフレが10月に3%を超え、労働市場が引き続き引き締まれば、11月にも25ベーシスポイント(bp)の利上げが現実となり得る」と指摘した。

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