[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した8月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.2%上昇した。ガソリンの値上がりが目立ったほか、基調的な卸売価格も上昇している兆しがみられた。市場予想は0.3%上昇だった。

7月は0.1%下落していた。

8月の前年同月比は2.4%上昇。市場予想は2.5%上昇だった。7月は1.9%上昇していた。

変動の大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.2%上昇。7月は横ばいだった。8月の前年同月比は1.9%上昇。7月も1.9%上昇していた。

FRBは次の利上げの時期を見極めるため、インフレ動向を注視している。エコノミストらはFRBが9月19-20日の会合で4兆2000億ドル規模の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の保有資産を縮小し始める旨を発表するとみている。利上げは12月まで待つとの見方が大勢だ。

前月比の内訳はガソリンが9.5%上昇し、1月以来の大幅な値上がりとなった。7月は1.4%下落していた。0.5%上昇となったモノの卸売物価の値上がり要因のうち75%を占めた。ハリケーン「ハービー」によりテキサス州で石油精製に影響が出ており、ガソリンは今後さらに値上がりする可能性がある。

8月のPPIは主にガソリン価格の上昇で押し上げられたため、エコノミストの間では今回の結果でFRB当局者の低インフレに対する懸念が後退することはないとの見方が出ている。

RDQエコノミクス(ニューヨーク)の首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「ハリケーン『ハービー』と『イルマ』の襲来を受けエネルギー価格の上昇が9月のインフレ関連の指標で主要な注目要因になる公算が大きいが、FRBは物価に対する影響は一時的なものと見なす可能性が高い」と指摘。

また、バンク・オブ・ザ・ウエスト(サンフランシスコ)の首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「今回の結果は正しい方向に向けた一歩となる」としながらも、「コア消費者物価の上昇率をFRBの目標に押し上げるに十分なほど強くもなかったし、裾野が広がったわけでもなかった」と述べた。

食品は1.3%下落し、2015年2月以来の大幅な値下がりとなった。7月は横ばいだった。

食品とエネルギーを除くモノの卸売物価は0.2%上昇した。7月は0.1%下落していた。

サービスは0.1%上昇。消費者ローンのサービスが1.7%上昇し、全体の値上がりの半分以上を占めた。サービスは7月に0.2%下落していた。

医療サービスは2カ月連続で0.3%上昇した。こうした費用は、FRBが物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)物価指数に組み込まれている。エコノミストらは、公的医療保険(メディケア)における医者や病院への還付金の伸びが弱いことが全体を抑制していると指摘する。

コアPCE物価指数は、FRBが目標とする2%を12年中ごろから下回り続けている。7月のコアPCE物価指数は前年同月比1.4%上昇し、15年12月以来の小幅な伸びとなった。

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