[東京 12日 ロイター] - 東芝<6502.T>は半導体メモリー子会社の売却で、13日に開く臨時取締役会での売却先決定を見送る。米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>陣営と協議を続けてきたが、条件が折り合わず、両者の溝は埋まっていない。

東芝は米投資ファンドのべイン・キャピタル、韓国半導体大手SKハイニックス<000660.KS>を中核とする「日米韓連合」との交渉を再開させ、来週の契約締結を目指す。関係者が12日、明らかにした。

東芝は、13日の臨時取締役会での売却先決定を目指し、WDと集中的に協議してきたが、将来、WDがどの程度の議決権を取得するかや、メモリー供給の割合などで両社の溝が埋まらなかった。

このため東芝はWDと協議を続行しても合意は得られないと判断し、交渉先をベインやSKハイニックスで作る「日米韓連合」に切り替え、来週の正式契約を目指す。

「日米韓連合」は9月に入って、将来の設備投資も含めて総額2兆4000億円の資金拠出する計画を新たに提案した。

このスキームでは、メモリー事業の重要顧客である米アップル<AAPL.O>も資金を出す。将来、WDとの係争が解決した場合は、産業革新機構と日本政策投資銀行による出資が可能になり、アップルなどから株式を移転する計画だという。

東芝は8月末までに売却先を決めるように主力行から要請されているが、すでに決定を2回先送りしている。東芝の綱川智社長が12日、三井住友銀行など主力取引行を回って選定状況を説明し、さらに1週間の猶予を求めたもようだ。

東芝とWDの交渉で、WDは買収時には議決権を持たないものの、新株予約権を取得し、将来的に15.8%の議決権を持つことでほぼ合意した。しかし、上場後にWDが追加的に議決権を得られるようにするかどうかで協議してきた。

さらにWDは、共同生産する三重県四日市市のメモリー工場で、東芝が単独投資を決めた第6製造棟の共同運営と、生産される次世代メモリーに関し、WDへの供給割合を増やすように求めていた。

東芝は「ディールの詳細については回答していない」(広報担当者)としている。

WDは「回答を控える」(広報担当者)と述べた。

べインのコメントは得られていない。

SKハイニックスからはコメントを得られていない。

(布施太郎 編集:田巻一彦)