【南場智子】答えのない経営の世界で、大切にしていること

2017/9/14
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【南場智子】スポーツ事業はDeNAの成長ドライブ
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【南場智子】球界で学んだ「公感」。街とつながり事業拡大

スポーツは“壁”を越える

――日本政府はスポーツ関連事業の規模を3倍にして、基幹産業にしていく方針を打ち出しています。スポーツは日本の基幹産業になり得るでしょうか。
南場 なると思いますね。
――その根拠は?
日本そのものが、成熟した豊かな国になっているんですね。やはり日本は世界の中で最も豊かで、安定していて、平和で、経済的にも豊かな国です。
そういう豊かな状態になると、もう少しおカネ持ちになりたいとか、もう少し稼ぎたいという気持ちよりは、感動を共有したいとか、喜びを共有したいとか、自分をもっと健康にしたいとか、あるチームを応援したいとか、勝って抱き合いたいといったような、次元の違う人間の生きがいを堂々と追求できる社会になると思います。
南場智子(なんば・ともこ)/株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)ファウンダー、代表取締役会長
新潟県生まれ。津田塾大学卒業後、1986年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。1999年に同社を退社してDeNAを設立し、代表取締役社長に就任。現在は会長
――スポーツとビジネスの組み合わせが、新たなバリューを創出できると。
ハマスタ(横浜スタジアム)の熱狂を見ていると、その可能性は本当に大きいなと実感します。一昨日(8月22日)、そして昨日(8月23日、ともに広島戦)の逆転サヨナラ勝ちをした試合などでは、年間シートを持っている人たちが、そうではないお客様、通路の反対側の知らない人たちともハイタッチをして盛り上がったりしている。本来、日本人というのは、知らない人とはあまり接触したがらない民族なんですね。
でも、そういう壁を大きく越える感動を、スポーツが生み出している。あんな場面を見ていると、やっぱりスポーツ事業は可能性があるなと思うんです。