衝突する「2つの正義」。反捕鯨運動に翻弄される漁村の物語

2017/9/8
和歌山県太地町。400年以上前から伝統的な捕鯨を行ってきた小さな漁村だ。
その景色が一変したのは2010年。日本のイルカやクジラの追い込み漁を批判的に描いた映画『ザ・コーブ』がアカデミー賞を受賞し、「シー・シェパード」など反捕鯨団体のメンバーが大挙して押し寄せるようになったのだ。
メディア戦略に長ける彼らは、太地町の漁師が行うクジラ漁を撮影しネット配信。すると非難の声が町役場に殺到し、さらに多くの活動家が押し寄せるなど、混乱に拍車がかかっていた。
その様子を、7年の長期取材を経て映画化したのが、佐々木芽生監督の『おクジラさま ふたつの正義の物語』だ。
佐々木氏は一連の問題を「ダイバーシティの危機」としてとらえる。そして、「異なる正義」を信じる人たちが分断され、衝突する世界に対して警鐘を鳴らす。
映画の公開を明日に控える佐々木監督に、本作から見えてくるグローバル世界に共通する課題について話を聞いた。
太地町の漁師に取材をする佐々木監督