トランプ政権、移民救済制度を撤廃 若者80万人強制送還の恐れ
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最悪。DACAは「移民」とはいえど、16歳以下でアメリカにきて、ちゃんと学校にいって、犯罪をしていない人が対象。つまり、対象者の多くはアメリカでアメリカ人と一緒に学校に通い、アメリカ的価値観を身につけた子供たちです。なぜトランプはそんな最も罪のない、将来ある子供や若者たちに矛先を向ける?
僕の職場に以前いた秘書さんで、不法移民の子がいた。彼女はアメリカ生まれなので国籍をもってはいるけど、境遇はDACAの子たちと似ている。不法移民の子でも立派なアメリカ人であることを示したくて、彼女は高校卒業後に海兵隊に入り、イラクとアフガニスタンに数度派遣されて戦った。除隊後、いくつかの職を経てうちの秘書になった。不法移民の子だって、アメリカ人以上の愛国心がある。彼女のような人を国から強制追放できるのか?の
ただ倫理的な話だけじゃない。この決定はアメリカを弱くする。なぜならアメリカの強さは世界中から才能のある人を集めてくることで成り立っているから。NASAの歴史がまさにそう。アポロを月に送ったサターン・ロケットを開発したのは元ナチスのフォン・ブラウン。僕のいるJPLの初代所長von Karmanはたしかハンガリー出身。JPL創立メンバーの一人が銭学林という中国人。ちなみに銭はレッド・バージでアメリカから追放されたのち、中国のロケット・ミサイルの父となった。彼をアメリカから追放したことで、中国のロケットとミサイルは10年進んだ。
そして、移民を10万人追放すればアメリカ人の雇用が10万人増えるわけじゃ決してない。僕もインターンによく外国人を雇います。それはアメリカ人を含むあらゆる候補者と比べてその人が一番よい人材だったから。じゃあ、その人が雇えないときに、能力的に劣ったアメリカ人を雇うか?能力によりけりだけど、適任がいなければ雇わないほうがまし、という判断もよくある。
一般論だが、アメリカ人というアドバンテージがあるにも関わらず移民に職を奪われるようなアメリカ人にはろくな人材がいない。彼らが失業する理由は、彼ら自身が努力しないから。努力しないくせにいっちょまえの賃金を要求するから。そして自身の努力不足を移民のせいにしているだけ。そんな奴らを雇わざるをえない状況にしたら、それはアメリカの産業の質の衰退を意味します。方針そのものは、いかにもトランプ。多様性主義を潰せば、「時代に取り残された白人層」の感情に迎合できるという、絶望的にチープな政治です。
ただ、6ヶ月の猶予を置くとか、議会に投げて修正や救済案を検討させるというのは、これまで見られなかった高等戦術。(1)不利益変更の責任を共和党に押し付けつつ、(2)強制送還という事態を人質に何らかの合意形成を迫らせる、(3)そこで議会が落とし所の議決をすれば自分の功績にもなり、(4)予算審議、債務上限などの審議を促進する触媒効果になる・・・ちなみに、大統領に罵倒されても耐えていたセッションズ司法長官が完全復活しているし・・・
誰がそんな入れ知恵をしたんでしょう? バノンの流儀ではないですし、軍出身のケリー補佐官の発想法でもなさそう、もしかしたらライアン下院議長周辺???「DACA」の撤廃発表ですか、、これは大きな騒ぎになりそうですね。
DACA(ダカ / Deferred Action for Childhood Arrivals)は、オバマ前政権で施行された「幼少時に親と一緒に不法入国した若者に限り、強制送還を猶予する措置」です。
下記等の条件を満たせば、2年間は強制送還対象外で、資格の更新も可能というもの。
・16歳までに米国に入国
・制度導入の2012年6月時点で31歳未満
・通学中や高校卒業、米軍/沿岸警備隊から名誉除隊を受けたかのいずれか
・重大犯罪で有罪となっていない
シリコンバレーや大手企業から反発を受けているようで、9/1付の連名要請書では
・マーク・ザッカーバーグ(Facebook)
・ティム・クック(Apple)
・ジェフ・ベゾス(Amazon)
・サティア・ナデラ(Microsoft)
といった名立たる大手企業のCEOが名を連ね、トランプ氏・共和党幹部らに制度撤廃をしないよう求めていました。
"対象者が同制度撤廃の影響を受けるのは約6か月後の2018年3月5日からで、議会がそれまでにDACA対象者の処遇に関する新法を制定しなければ、対象者は滞在許可が失効した時点で不法滞在者となる。"
トランプ大統領は、アメリカファーストを掲げ「雇用を米国人で」という方向に舵を切りすぎて、経済を支える企業群を敵に回し、経済成長の公約が疎かになるカタチになってしまうのか。。
引き続き注目です。
【参考記事:移民めぐり対立再燃、トランプ政権とシリコンバレー】
http://s.nikkei.com/2eCNeFh
【追記】
個人的な意見ですが、Mori Rikuさん・安井明彦さん・Sakakibara Noboruさん・戸田康弘さん・斎藤陽さん・西山誠慈さん・丸山健さんらが感情論抜きの冷静なコメントをされており、参考になりました。
こういうときこそ、色々な人の意見に耳を傾けて自分自身の考えをブラッシュアップするべきだとつくづく感じます。
ありがとうございます。