優秀な人を集める新常識。「採用学」とは何か

2017/9/11
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第104回は、横浜国立大学で、企業組織と個人の関わりを研究し、データ分析に基づく科学的な採用法である「採用学」を提唱する服部泰宏氏が登場する。
日本企業の場合、人事データを分析すると、入社面接で高評価を得た人が、逆に入社後の評価は低いというケースが多くあるという。
その理由は、面接において、過去の習慣や主観、勘、見た目などに流されてしまう傾向などがあるからだ。
服部氏は、このような採用活動における曖昧さをなくすため、「ロジックとエビデンスによる採用活動」の重要性を主張している。
服部氏が企業と共同で研究を進める「採用学プロジェクト」では、社員の働き方など多くの人事データを集め、その会社にとって、業績を出す優秀な人の条件(資質)を分析。すると、業績を出す人の意外な特徴が見えてくることが多くあるという。
また、服部氏は多くの日本企業が面接で重視する「コミュニケーション能力」は、海外の研究成果では、社内教育やOJTで「変わりやすい能力」と指摘されている点に注目する。
そこで面接では、「変わりやすい能力」よりも、「変わりにくい能力」を重視。「変わりやすい能力」は、社内教育で補うというように、採用と育成を連携させることで、人材難に悩む企業でも、優秀な人材を獲得する新たな地平が見えてくるという。
採用する側、される側の双方が入社して「こんなはずじゃなかった」という「期待のギャップ」を回避する方法から、面接を構造化する方法など、採用の新しい動きを聞いた──。