[31日 ロイター] - 中国国家統計局が31日発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と、前月の51.4から予想外に上昇した。金利上昇や住宅市場の減速にもかかわらず、中国経済の健全な拡大が続いていることが示された。

景気拡大・悪化の境目となる50も大幅に上回った。ロイター調査のアナリストは、51.3に若干低下すると予想していた。

中国の今年上半期の成長率は、建設ブームや輸出の回復、強い小売部門を背景に予想を上回る6.9%となった。

建設ブームはセメントから鉄まで広範に需要と価格を押し上げ、工業部門の大手企業の利益は数年来の高水準を達成。積み上がった債務の支払いに資金が回っている。

ただ専門家は、借り入れコストの上昇が今後数四半期わたり経済活動を圧迫し、結果的に景気減速が始まるとみている。

8月の建設のサブ指数は7月の62.5から58.0に低下した。依然堅調ではあるものの、低下は政府のインフラ整備による強力な後押しが後退し始めたことを示唆している可能性がある。

ただ、今秋の党大会を前に政府は安定維持に注力しており、急速な景気減速を予想する声はない。

投入価格は57.9から65.3に上昇した。産出価格も上昇ペースが昨年12月以来の水準に加速、生産者の力強い価格決定力を反映し、企業の利益率拡大につながるとみられる。

ANZ銀行(香港)のグレーターチャイナ担当チーフエコノミストは、特に投入価格の上昇加速は今後数カ月間の資源会社の利益と投資の好調な見通しを示唆していると指摘。「価格主導の回復が少なくとも第3・四半期は続く」との見方を示した。

さらに「需要サイドではインフラ支出と固定資産投資が(妥当な水準を)維持している。第4・四半期以降も大幅な景気減速を見込む理由はない」と語った。

一方、キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は、リサーチノートで「当局の引き締め政策が今後数四半期の投資支出を圧迫するとのわれわれの見方が正しければ、鉱工業生産の現在の伸び率が長期間持続可能かどうか疑わしい」と指摘した。

生産のサブ指数は7月の53.5から54.1に、新規受注は52.8から53.1に上昇した。

輸出受注は50.9から1月以来の低水準となる50.4に低下。新規受注全体の伸びは内需がけん引した。

同日発表された8月のサービス部門PMIは前月の54.5から53.4に低下した。2016年5月以来の低水準だった。

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