[18日 ロイター] - <為替> ドルが主要通貨バスケットに対して下落。トランプ米大統領の政権運営能力を巡る根強い不安がドルの地合い悪化につながった。

ドル/円<JPY=>は一時約1%下落し108.58円と、4月下旬以来の安値をつける場面もみられたものの、バノン首席戦略官の辞任に関するうわさが流れると下げ渋る展開となった。その後、ホワイトハウスは正式にバノン氏辞任を発表した。ドルは足元0.25%安の109.31円。

バノン氏は、白人至上主義を助長しているともいわれる保守強硬派の代表とみられていた。また市場では、バノン氏がコーン国家経済会議(NEC)委員長やムニューシン財務長官らと対立しているとの声もあった。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 国債利回りはほぼ横ばいとなった。トランプ大統領がスティーブン・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問を更迭したこと受け、株式に対する需要が増加する一方、国債への需要が低下したことが背景。

終盤の取引で10年債<US10YT=RR>利回りは2.197%と、前日終盤からほぼ横ばい。ただ週初に比べると若干高い水準となる。この日の債券市場では当初、トランプ大統領の減税やインフラ投資などの実施能力に疑問が強まったことを背景に国債利回りは約7週間ぶりの低水準近辺にあった。

この日はフィンランド南西部トゥルクでナイフを持った男が通行人に襲いかかり、2人が死亡、少なくとも6人が負傷する事件が発生。前日にスペインで車両が群衆に突っ込むテロ事件が起きたばかりのこともあり、市場では不安感が高まった。

この日発表の米経済指標では、8月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)が97.6と、1月以来の水準に上昇。前出のインサイト・インベストメンツのセレンテ氏は「米経済は減税やインフラ投資の力を借りなくても、かなり堅調に推移している」としている。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 値動きが激しくなる中、小幅続落して取引を終えた。ホワイトハウス内の新たな混乱が伝わり、トランプ政権の政策見通しに注目が集まった。

S&P総合500種<.SPX>は大統領選以降、なお13.4%高い水準だが、直近2週間で2.1%値下がりした。50日移動平均を1%ほど下回って引けた。4月半ば以来の主要なテクニカル指標をさらに下回り、選挙以降の200日移動平均に近づいた。

個別銘柄では、決算が失望を誘ったことを受け、スポーツ用品小売株や米農業機械大手ディア<DE.N>が相場の重しとなった。フット・ロッカー<FL.N>やヒベット・スポーツ<HIBB.O>のさえない決算を受け、ナイキ<NKE.N>が4.4%下落した。ディアは5.4%安。決算で売上高が2四半期連続で予想を下回ったことが嫌気された。

株式相場は例年低調とされる月を迎える中、今後数週間さらなる試練に直面するとみられる。連邦準備理事会(FRB)が9月会合で、バランスシートの縮小計画を示す可能性もあるとされる。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ほぼ横ばいとなった。中心限月12月限の清算値は前日比0.80ドル(0.06%)安の1オンス=1291.60ドルとなった。

金相場は午前中ごろまでは堅調に推移。トランプ米政権の先行き不透明感に加え、前日にスペインで発生したテロ事件などを受け、投資家のリスク回避姿勢が強まっていたことから、安全資産とされる金に買いが入りやすかった。

ただその後、ホワイトハウス内での確執が絶えなかった保守強硬派のバノン首席戦略官が離職するとの報が伝わり、米株価が下げ幅を縮小。投資家のリスク回避姿勢が幾分弱まったことから、金相場には売り圧力がかかった。また、この報などをきっかけに利益確定の売りや持ち高調整の売りなども出たもようだ。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 対ユーロでのドル軟化に伴う割安感や米株価の下げ幅圧縮などを背景に大幅続伸した。米国産標準油種WTI9月物の清算値は前日比1.42ドル(3.02%)高の1バレル=48.51ドルと、中心限月ベースで11日(48.82ドル)以来1週間ぶりの高値となった。ただ、週間では0.63%安で、マイナスでの越週は3週連続となった。

外国為替市場ではドルが対ユーロで軟化。ドル建てで取引される商品相場に割安感が生じ、原油相場の買いが誘われた。また、前日に大幅下落してこの日も寄り付きから下落した米株価が昼前に下げ幅を圧縮したことも支援材料。相場は一気に上値を試す展開となった。

さらに、石油サービス会社ベーカー・ヒューズがこの日午後に公表した同日までの1週間の米国内石油掘削リグ稼働数は前週比5基減の763基となり、2週連続でマイナスとなった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]