【求人掲載】30代で築き上げる「経営×ファイナンス×マーケティング」なキャリア

2017/8/30
外資系戦略ファーム、外資系投資銀行、総合商社、監査法人などハイキャリアを持つビジネスパーソンが、次々と移籍する企業がある。ダイレクトマーケティングの雄、トライステージだ。その中でもM&Aや買収後の経営、事業再生を推進する「事業開発部」に“ハイキャリア”が集積している。知名度が高いとは言えないこの企業に、なぜこのような人材が集まるのか。同部門に籍を置く30代の2人と、この部門を立ち上げた執行役員事業開発部長に話を聞いた。

30代で感じた焦燥感と決意

──浅野さんは総合商社から、宮嶋さんは外資系戦略ファームなどを経てトライステージに籍を移しています。理由を率直にお聞かせください。
浅野:学生の頃から経営に興味を感じていました。グローバルに活躍したいと考えて、新卒で選んだのは丸紅。エネルギー事業に携わり、海外赴任も経験して、20代は思い描いた通りの経験を積みました。
ただ、MBA留学を通じて経営への興味が高まり、より大きな権限と責任を持って自分なりの価値を生み出したいという思いが強くなりました。30代になって、「スピード」を意識し、焦りを感じたのです。
企業の規模が大きければ大きいほど、責任あるポジションに就くまでの時間がかかるのは当然ですよね。最近でこそ商社は投資先の経営を通じて経営者人材の育成を掲げていますが、子会社の経営を任されるのは40代や50代が一般的です。
それを目の当たりにして、経営者になるという目標のためには、早く経営に近い経験を積みたいと考えるようになりました。生意気に聞こえるかもしれませんが、私のイメージでは、30代の前半には子会社のトップは経験していたかった。
転職するにしても、事業や経営へ主体的に関わりたい自分にとって、外資系戦略ファームや投資銀行への転職は選択肢にありませんでした。
商社にとどまるべきか悩んでいた頃、今の上司である緒方(執行役員事業開発部長)から声をかけてもらいました。正直に言って、トライステージのビジネスどころか、社名すら知らなかった(笑)。
それでも、トライステージのダイレクトマーケティングのビジネスに成長性を感じましたし、事業拡大に向けて3年間でM&A投資枠が100億円という、会社の規模に比して積極的な方針も魅力でした。何よりも、役員として投資先の経営に関われることが決め手でした。
宮嶋:私は新卒で大手エネルギー会社に入りましたが、大手の感覚が肌に合わず、1年で退社(笑)、公認会計士の資格を取得して監査法人に入りました。
監査法人では監査・内部統制など企業経営の守りの部分に携わりました。次はもっと攻めの部分で企業を支援したいと考え、アクセンチュアに転職、戦略グループで事業計画策定、オペレーション改善などのプロジェクトに従事しました。その後別のファームで、M&Aアドバイザリー業務の経験を積みましたが、この時点で30歳を過ぎていました。
これからのキャリアを考えた時に、次は経営ポジションでビジネスに直接携わりたいと思いました。だから、当初はIPOを目指しているようなベンチャーの経営陣を中心に転職先を探していたのです。
そんな中でベンチャーでもないトライステージに決めたのには、2つ理由があります。1つ目は、子会社である日本百貨店の取締役CFOのポジションを約束してくれたこと。
もう1つは人です。私は今、トライステージの事業開発部のメンバーでありながら、子会社の日本百貨店のCFOでもあり、上司が2人いるのです。
1人目の上司である緒方は、どちらかと言えば私に近いキャリアの持ち主。私より何歩も進んでいる緒方なら私の考えや経験を理解して、迷ったときに的確なアドバイスをもらえると思いました。
もう1人の上司である日本百貨店のトップである鈴木(正晴・代表取締役)は、伊藤忠商事でブランドマーケ分野のキャリアを積んだ後、独立して日本百貨店を創業した人物。営業が得意であり、かつ、創業者である点で、私とはキャリアが異なります。
キャリアが違いかつ経験値のあるこの2人のもとで働けば、さらに成長できると思ったのです。

トライステージとは何者か

──会社の成長性やビジネス内容に魅力を感じなければ転職先には選ばないはず。改めて、トライステージはどんな会社ですか。
緒方:創業は2006年。医薬品、食品メーカーが直接消費者に商品を販売したいというダイレクトマーケティングへの機運が高まっていた時代です。クライアントにノウハウを提供していた3人が広告代理店の大広からスピンアウトしてできたのが、トライステージなのです。
ダイレクトマーケティングとは平たく言えば通販で、当時最も影響力が大きかったのはテレビ通販だったのですね。
当社の強みは、このテレビ通販を放映する地上波番組の広告枠のシェアが業界トップであること。言ってみれば、テレビ通販番組枠における電通なのです。
その結果、番組枠の提供だけでなく、映像の制作、消費者と接するコールセンター、どの時間帯にどんな番組を制作したら最も売れるかといったコンサルティング、消費者の反応や購買状況などのデータ分析など、ダイレクトマーケティングを行う企業に一気通貫したサービスを提供し、創業からわずか2年半後の2008年に上場を果たしました。
その後、ダイレクトマーケティング市場では、ネットが急成長し、顧客からのWEB広告に関する相談も増えてきました。
しかし当社にはそのノウハウがないし、一から事業部を立ち上げるのでは時間がかかりすぎる。そこでM&Aをしようと。そうした方針のもと、ヘッドハンティングされたのが私。トライステージに入って立ち上げたのが、今の事業開発部(当初は経営企画部)で、2015年3月のことでした。
この時から国内ではWEB広告、DMやメールマーケティングなどCRM関連分野の強化、海外においては東南アジアにおけるテレビショッピング会社の買収等、一気にM&Aを加速しているのです。

「マーケティング×ファイナンス」のクロスキャリア

──感じた“成長感”など、入社前のイメージと入社後の現実にギャップはありませんか。
宮嶋:ありますよ、スピードが速いしやることが多い。これまでの戦略コンサルや監査法人等での経験で、経営に関する仕事をそれなりにできるのではないかと思っていました。しかし、実際に事業会社の経営に携わると、それ以前には見えなかった仕事がたくさんありました。
当社から派遣されるCFOはCOOの役割も兼ねていますから、事業面も管理面もこなさなければならず、戦略策定から実行までを一手に手掛けることになります。そして、これはコンサル時代にはできなかったことです。
緒方:私の持論ですが、国内事業会社のM&Aがうまくいかない大きな理由の1つは、買収実行と買収後の経営統合(PMI)の担当を分けているからだと思うのです。
当社では基本的に投資に携わった者が、投資先企業の経営に携わります。こうすることで無駄に高い買い物を防ぎ、投資回収のスピードを速めることができるのです。
もちろんそのためには、デューデリジェンス、バリュエーション、エグゼキューションといったM&Aのスキルに加え、PMIのスキルや、もっと言えばその先の経営スキルも必要です。当社であればこれら全てが一気通貫で経験できます。
浅野:私にとってはまさにその部分、買収先企業の経営に携われるというのが入社して感じた一番の魅力でした。また、ファイナンスだけでなく、トライステージのメインビジネスであるマーケティングスキルを高められることも魅力だと感じています。
入社後間もない私ですが、漢方薬の通販を行っている子会社の役員をやらせてもらっています。そもそもこの会社のビジネスはダイレクトマーケティングそのもの。マーケティングスキルが磨けないわけがありません。
マーケティングとファイナンスの両方がわかる経営者は非常に貴重だと思いますし、このハイブリッドキャリアを築ける環境は日本でもかなり珍しいと思っています。

M&Aと買収後の経営は人材育成の最高の舞台

──緒方さんはハイキャリア人材をどのように育てていこうとお考えですか。
緒方:3年単位でのキャリアアップを考えていて、例えば30歳で入社した人が9年で上場企業のCFOやCOOになれるようにしたいです。
最初の3年は、上司のもとで実際に提携候補先の選定、アプローチも含めたM&Aを戦略、会計、法律などのファームの協力を得ながら実行、同時に投資先のモニタリングにも従事します。
次の3年は国内グループ会社のCFOです。投資後の経営改善の余地がどこにあるのかを探り、自分で解決策を出して実行し、事業を成長させる。
その後は海外子会社のCFOに。業績を立て直しながら、M&Aによる拡大をはかります。ここで国内での経験が役に立つのです。もちろん、国内海外ともにIPOも視野に入れています。
仮に30歳で当社に入ったとすれば、30代後半には国内外でCFOを務めた経験を持つ高いレベルのM&Aならびに経営スキルが身についているはず。それも、どちらも現場で鍛えた本物のキャリア。絵空事ではなく、上場企業のCFOになれるでしょう。
戦略ファームや投資銀行、事業会社などで身につけられるスキルと経験を幅広く一気に積んでもらい、経営者としてのキャリアを駆け上がっていくわけです。
先ほど宮嶋が話したように、私の教育スタイルは、まず機会を与え、やらせてみる、です。もちろん普段から相談にもよく乗ります。
ただ相談する前にまずは自分でとことん調べてみなさいと言っています。ちなみに当社の本棚には日本語で書かれたM&Aに関する書籍はすべてそろっていると言えますし、M&Aに限らず業務で何か問題が発生した時に参考になりそうな本は、ほぼあると思います。
浅野:本だけではありません。さまざまな専門分野を持つキャリア豊富な仲間が事業開発部には8人ほどいますから、壁にぶつかった場合は情報共有してお互い助け合っています。

「逃げない覚悟」と「あくなき好奇心」が必須

──トライステージは「マーケティングを語る上では必ずなくてはならない会社になる」を掲げ、事業領域を拡大していく方針です。どんなメンバーを求めますか。
緒方:私たちが求める人材像は、「絶対に逃げない覚悟」「あくなき好奇心」を持つ人です。極端な話、この2つさえあればほかはいらない。
M&Aは一度行ったら、投資先企業の業績が改善、成長するまで、とにかくやり続けるしかありません。正直に言って、業績の芳しくない会社をM&Aする方が多いですから、当初は課題だらけで、多くの壁にもぶち当たる。そのときでもへこたれず、前を向いて壁を乗り越えることのできる覚悟が必要です。
また、M&Aおよび経営スキルを高めるには、さまざまな分野の知識が必要ですから、それら全ての事案に興味を持って臨める好奇心があるかどうか、ここも重要な要素です。
私は転職を重ねることでキャリアを築いてきましたが、ずいぶん回り道をしてきました。自分なりに上場企業CFOになる最短のキャリアを考えると、このようになりました。手前味噌ですが、最高に成長できる環境を提供できると思っています。
(取材・編集:木村剛士、文:杉山忠義、写真:長谷川博一)