自称インフルエンサーに騙されるな。見極めのカギは“誠実“さ
2017/8/17
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」（毎週月～木 9：00～13：00）と連携した企画「PICK ONE」（毎週月～木 11：10～11：20）をスタートしました。
17日は、SHOWROOM代表の前田 裕二さんが出演。「でっちあげた『人気インスタグラマー』を企業は宣伝に採用するのか？ 米マーケティング企業の実験がまさかの結果に」（ねとらぼ）を題材に、インフルエンサーマーケティングの落とし穴について解説しました。
フォロワー数は重要じゃない？
サッシャ 今日は、「でっちあげた『人気インスタグラマー』を企業は宣伝に採用するのか？ 米マーケティング企業の実験がまさかの結果に」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の前田 裕二さんです。前田さんはDeNAの子会社であるライブ動画ストリーミングプラットフォームを運営する、SHOWROOMの代表でいらっしゃいます。
サッシャ おはようございます。
前田 おはようございます。
サッシャ 2回目の登場ということで、よろしくお願いします。
前田 よろしくお願いします。
サッシャ 今日はちょっと気になる記事。なぜこれをピックアップしたんですか？
前田 どんな記事かというと、フォロワー数とか「いいね」は買えるんです。そこで、アメリカで実験的にこれを買って、偽のインフルエンサー、つまりハリボテのSNSのアカウントを作り上げて、企業に「宣伝に使いませんか」と言ったところ、企業がガンガン使った、というものです。
なぜこの記事をピックしたかというと、宣伝する側、広告主が意外と表層的なことしか見ずにマーケティングをしていることがわかると思ったからです。
問題なのは、フォロワー数を見るのが表層的なことだと思っていない広告主が多いということです。いわゆるテレビ的な認知だけではなく、フォロワー数が重要だと思っている人もいるかもしれません。
でも実はそうじゃない、というのが大事なポイントです。そこへの警鐘という意味でピックアップしました。
サッシャ フォロワーを増やしたり、「いいね」を買うことができるんですね。だいたいどれくらいの相場で買えるんですか？
前田 確か、インスタグラムで、5万フォロワーを作るのに３万円とかだそうです。
サッシャ そんなものなの？！
前田 すごく安いです。
サッシャ もしそれで企業の宣伝に使われることになったら、もっと大きいお金をもらえる可能性がありますよ。
前田 そうです。フォロワーを買うのに投資をして、企業にそれを売って回収するような、「嘘をついて稼ぐビジネス」というのが成り立っているのだと思います。
サッシャ 嘘つくのは悪いのですが、それを検証しないで安易に使ってしまう企業側にも大きな問題があるということですね。
前田 そうです。企業側が変わらないと嘘をつく人も減りません。
コメントやファンの熱意を見る
サッシャ どういう風にすれば本当のインフルエンサーを見分けられるんでしょうか。
前田 「エンゲージメント」と僕らは言うのですが、フォロワー数だけじゃなく、きちんとアカウントを見るとわかります。
例えばインスタグラムだと、毎日脱毛サロンに行っている人とかがいるんです。そんなに需要はないと思うので、おかしいというのは見ればわかります。
一番重要なことはインフルエンサーの人が嘘をついていないかどうかです。
あとは、ファンのコメントとか、どれくらいファンの人が熱狂しているのかは見ればわかります。見極めることは簡単にできるんです。
ただ、この記事にあるような企業だと、フォロワーがどういう人たちかを見ずに意思決定しているケースも多いのだろうと思います。
寺岡 先週、「年収50億円の29歳、世界最強インフルエンサーの素顔」という記事を取り上げました。これは中国のお話でしたが、インフルエンサーという存在を勝手に作り上げることはできるんですか？
前田 このレベルはトップ・オブ・トップと言うか、ちょっと特別です。
このレベルは別としても、あまり認知はされていないけれど、すごく人気のある「インフルエンサー」という人たちはいて、そういう人たちは問題ありません。
一番問題があるのは、認知されている訳でもなく、人気がある訳でもない「自称インフルエンサー」の人たちです。ピラミッドでいうと下の層の子たちで、その人達は誰も認めていないのだけれど自分のことを「インフルエンサー」と定義して、広告をとって生きています。そういう人たちが結構います。
でも、そういう状況は気持ち悪いなと思っています。
サッシャ 前田さんがおっしゃるのは企業側への警鐘ですね。
僕らユーザーは、インスタグラムやツイッターを見る時に、本物のインフルエンサーとそうじゃない人をどうやって見分けたらいいのでしょうか？
前田 一番は、インフルエンサーの人が、ファンと誠実に向き合っているかどうか、嘘をついていないかどうかですね。
僕みたいに生配信のサイトをやっていると、例えば「事務所から言われてやっているんだろうな」とか、本人の内から湧き出るモチベーションでやっているのかどうか、表情とか言葉尻でわかります。そういう場合は後者の方が人気を得やすいです。
あとは、フォロワー数じゃなくて、シンプルにエンゲージメントを見るのがいいと思います。リツイートとか「いいね」を買う人はあまりいないので。
この記事では「いいね」を買ってはいるのですが、そういったケースはさすがに少ないです。だから50万人フォロワーがいるのに「いいね」が50しかついていないようなことがよくあるんです。
サッシャ そんなことありえないですよね。50万人フォロワーいたら、数千、何万の「いいね」がつくはずですもんね。
前田 そういうのは、パッと見てフォロワーを買っているのがわかります。
見分けるリテラシーが大切
サッシャ あとは、前田さんの関連でいうと、SHOWROOMのアカウントを持っている人のインスタグラムを見た時に、SHOWROOMの視聴者が多いかどうかでもそれはわかりますね。
前田 インスタグラムで10万人のフォロワーがいるのに、SHOWROOMで1000人くらいしか見ていなかったらハリボテなのかなと思います。
（お笑いタレントの）田村淳さんは、ツイッターフォロワーが250万人くらいいるので「淳さんフォロワー多いですよね、すごいですね」という人がとても多いのだそうです。そういうことを言われるたびに「インターネットをわかっていないなと思う」という話をされていましたが、僕も本当にそう思います。
フォロワー数が多いこと自体にはそんなに意味がなくて、実は重要なのはその先にある「エンゲージメント」なんです。
それをちゃんと見れば一瞬で見分けられます。そこを見るリテラシーが一般に広がっていくといいなと思います。
サッシャ 企業側、そしてユーザー側のインフルエンサーを見極める力が今後の課題ということですね。ありがとうございました！
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした前田さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
