【SPEEDA総研】世代間の移転~資産と事業~
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注目のコメント
世代間の話が出ると、往々にして個別事例や感情論を以ってして「世代間対立は不毛」といった指摘がなされますが、直視すべき最重要課題だと思います。高齢者は将来の不安から支出を抑えて消費を鈍化させ、若年世代もまた不安を持って結婚や出産を控え、それが少子化に繋がる。今起きているのは典型的な合成の誤謬だと感じます。
現状が完全なナッシュ均衡である以上、思いきった揺り起こしをかけないことには今の状況がダラダラと継続するだけでしょう。おそらく10年後にも同じタイトルの記事が現代的なテーマとして取り扱われているのではないでしょうか。まぁこれが議会制民主主義の行き着いた姿というものなんでしょう。
年代による一票の重みづけ、未成年分の投票権を親に付すといった議論もなされますし、個人的には大いに首肯するものですが、近代的人間観に真っ向から挑戦するような議論が、果たして日本で起こせるものか。ホッブス、ロック、ルソー並みの論理武装は必要でしょうね。
シニカルを気取っていても仕方ないので、自分は自分の身の回りでなし得る自己防衛に専念するしかないのかなと。
事業承継については、先代から次代の経営者に株式を贈与する際には非課税とする特例を設ければ、コストをかけずに実行できる有効な打ち手になるのではないでしょうか。日本の国家財政や人口構成は構造的な問題です。しかし、一人一票の民主主義制を採用しているリーダー不在の日本では、全ての問題を先送りできるところまで先送りします(イマココ)。
問題を先送りしても、構造的な歪みはいつか顕在化しますので、シナリオは二つ。
①ステークホルダー(既得権を持つ人)が我慢して全体最適に向けた施策を打つか、
②先送りした問題がburst(爆発)するまで目をつぶって走る
個人的には、日本は②を選ぶ癖があるんじゃないかと思っています。
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さて、「日本の、地方部に住む高齢者と東京に住む若者は同じ国家の中にある家族なので、有事の際は東京に住む人の税金や財産で地方部は救済される」を前提に政策を考える人が多数派です。
現在の主権国家の仕組みを踏まえるとこういうことなのでしょう。
しかし現代では、マネーや人は国境を簡単に跨ぎます。この事実を踏まえると、例えばとある東京に住む若年富裕層にとって、地方部高齢者の日本人が金銭的に貧窮していたとしても、ドイツ人がギリシア人を見て思うのと同様に、「何も悪いことをしていない自分が、果たして他人の尻を拭くべきなのか?」と疑問に思ってもおかしくありません。
特に能力・資格・財力的に国外移転の容易な人(例えば二重国籍を持ち言葉の壁のない高度IT/金融技術者)にとっては、財政の健全な国やタックスヘイブン都市国家への国外移転は有力なオプションになり得るため、この考えはより強くなるのではないかと推測します。
自分を国家に帰属する存在と見るか、国家を超越する一個人と捉えるかよって、あるべき論や道徳とは各自変わり得る、実は相対的なものだと思います今回は、個人と企業の両方からみた世代間の移転について書きました。
個人の方では、統計に表れない部分があり、なかなか試算をするのは難しいですが、若年層の貯蓄率悪化には何かしら手を打たなければいけないと思います。今後消費税が引き上げられることを考えると、若年層の消費の冷え込みは免れなさそうです。
企業では、中小企業の廃業予定が5割となっており、事業承継が難しい状況になっています。もちろん将来性がなかったり、負債の移転になってしまう場合は廃業という選択も必要ですが、好業績でも後継者がいないという理由での廃業もあり、数十万人の団塊経営者が引退時期に入る2020年頃までに計画的な事業承継が必要となりそうです。