雇用は改善しても「賃金上昇」が実現しない日本経済の問題点
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当然、「完全雇用ではないから賃金が上がらないのだ」という事実が存在する可能性もある一方、「完全雇用になったとしても賃金が上がるとは限らない世の中になった」という可能性も今の欧米を見ていれば検討すべき論点ではあるはずです。いつもまでフィリップス曲線信仰に引きずられた政策運営ではオーバーキルを惹起する恐れがあります。
なお、日本特有の論点としては過剰サービスの削ぎ落としで人件費を吸収するというプロセスが他国に比べて長く続く可能性があるので余計に完全雇用と賃金停滞が併存しやすくなる面があろうかと思います。政策云々ではなく、そもそも論ですが、今の若い人たちは、私たちの世代に比べ、本当に優秀になりました。
はっきり言ってしまうと、五十路の私が会社に入るころは、何もスキルも無く、まして企業の研究など無しに、なんとなく就職していました。
いまの新入社員や大学生は、パソコンのスキルは当然のこととして、英語はできて当たり前、学歴も理系では修士は当たり前。プレゼン能力に長けた人、コミュニケーション能力に強みのある人。
バブル崩壊以降、そうしたどんどん優秀になる人たちの給与や待遇は、ずっと抑圧されてきました。すなわち、個々の能力に対する実質的な意味での給与は、どんどん下がっていたということです。
結局企業は、優秀な人材を活用していながら、収益を上げ、給与を高める努力を怠ってきたということです。
いつまでたっても正社員の給与が上がらない現状を見るにつけ、最高益をあげながら、給与を上げない企業の振る舞いは、将来世代に対する犯罪行為に等しいと思うようになって来ました。安定の安達 誠司さんの記事。「なぜデフレ脱却に足踏みをしているか」をコンパクトに纏めて頂いています。
この記事に書いてある事象以外で個人的に思うのは、これからますます高齢者が増えていく環境下では、固定された年金収入だけで生活する高齢者にとって、モノやサービスの値段が上がっていくインフレを良しとしない風潮が何らかの影響を与えているのではないか、と思っています。
これまでの経済理論は人口減少社会を前提にしていないので、それで過去からある経済理論では説明できない状況に四苦八苦しているようにさえ感じます。