【SPEEDA総研】旅行市場と代理店の行方
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私たちついこの手の記事を見るとき、リアルとオンラインの対比で、リアルの旅行代理店は衰退し、オンラインに移行していくと考えがちです。
しかし、この認識は必ずしも正しくはありません。
私もかつての旅館の経営に携わっていたのでわかりますが、旅行代理店の強さは販売でなく、「仕入れ」の方にあるのです。
大手旅行代理店は、年間を通じで飛行機や鉄道、ホテル、旅館などを一定の席、部屋を仕入れ、予め抑えています。
又航空会社やホテルの側でも、このお陰で閑散期でも、旅行代理店がきちんと一定数の顧客を送客してくれるため、安定した経営が成り立つのです。
つまり、旅行代理店とは極端な季節変動から観光業界を守っているある種のバッファの役割を果たしているわけです。
こうした旅行代理店の機能ゆえに、コンベンションや社員旅行などの大口の法人需要は、仕入れ機能を持たないネットでは全く対応することができません。
一般の認識とは裏腹に大手旅行代理店の業績が堅調なのは、実はネットとの住み分けが進んでいるからだといえるのです。
問題はこの「仕入れ」のパワーがいつまで続くかです。
特にネットで自社販売が広がると、エージェントに依存しなくても集客できる業者が多くなるので、自由度が失われるエージェントへの販売を嫌うようになるのは当然の流れです。
従って仕入力の弱い旅行代理店は、必然的に淘汰されていくことになるでしょう。普段はネット予約派ですが、先日JTBの店舗にいってみたところ、予想より多い利用客がいました。
自身含め総じて利用客への対応は大変丁寧でしたが、その手数料の価格を聞いて自分ならやりたくない仕事と思ってしまったのも事実。
大手もネット予約を充実させていますが、店舗とパッケージツアーがなくなったら旅行代理店の役割は何かと考えてしまいます。
世界をみるとExpediaはHotels.comやtrivago、Pricelineはbooking.comやOpentableまで揃え、徐々に包囲網が形成されています。Airbnbが体験プログラムを扱い出したように、ますますオンラインサービスは充実化していくでしょう。
JTBも海外の代理店を買収するなどしていますが、より根本的な問題にも取り組むべきではないかと思います。H.I.Sのハウステンボスの利益率はすごいですね。24.7%
「ロボットの王国」とか「変なホテル」とか。
ハウステンボスというと、一時期とんでもなく寂れてて、不良債権化していましたが、見事澤田社長の手腕で復活。
ただ佐世保市から強引に再生支援交付金を交付させたり、地元銀行に債務棒引きして泣かせたりとかなり剛腕も発揮していたという。
そんな剛腕も含めて「澤田マジック」なのでしょう。
しかしJTBにしろ、H.I.Sにしろ、原価率がぴったりと80%で収まっているんですよね。
これは、まず旅行ティケットや宿泊料金などの原価の金額が決まっていて、そこに20%のマージンを乗せているからなんでしょうかね。