長時間の無駄な会議を避けるには

会社の経営には、大変なエネルギーを要する。人事、財務、生産、供給……多くのことに膨大な時間を割かねばならない。なかでも、さまざまな会議は貴重な時間をかなり取られるわりに、たいした成果が得られないことが多い。
ビジネスリーダーなら誰もが、会議を効率化するための自分なりのアイデアを持っているはずだ。そこで私は、著名なCEOたちはどんな工夫をしているのか、調べてみることにした。
彼らのアプローチはそれぞれ違うかもしれない。だがそこには、チームのモチベーションや集中力を維持させながら会議を生産的な場にできる、何かしらの共通点があるはずだ。2018年の会議を実りあるものにするためのヒントを紹介しよう。

1. 参加者は少人数に

「料理人が多すぎるとスープが台無しになる」ということわざがある。会議の参加者にも最適な人数があるのだろうか。
アマゾンのジェフ・ベゾスには、有名な「ピザ2枚ルール」がある。会議に参加するメンバーを、ラージサイズのピザ2枚を分け合える人数に限るのだ。最大8人ということになる。グーグルのラリー・ペイジも10人未満に抑えるようにしていえる。
そして私も、会議の参加者は少なめにするようにしている。そうすれば、より集中でき、合意に至る可能性は高まり、早く終わらせることができるからだ。

2. 成果を念頭に置く

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグには、会議に関して2つの決まりがある。まず、資料は事前に提出しておくことを社員に求める。会議の時間を議論だけに使うためだ。
次に、会議を始める前に明確なゴールを設定しておく。フェイスブックの会議は、こんな質問からスタートする。「私たちは、話し合いをするためにこの部屋に集まっているのですか。それとも決定を下すためですか」
2018年も、成果が念頭に置かれていない会議への出席を強いられることがあるだろう。そんなときは「ノー」と言えばいい。
期待される成果が見えている会議は、その会議を行う目的やメンバー、議論の進め方がはっきりしているものだ。なぜその会議が開かれているのか、明確な理由がない集まりの場でただ座っているのは、もう終わりにしよう。
成果を念頭に置いておけば、効率的な会議になるはずだ。その目標に向かって議論は始まり、話が脱線してしまうのも回避できる。

3. すべてをシンプルに

ペイジやベゾスと同様、アップルのスティーブ・ジョブズも会議の規模は小さいほうがいいという信念だった。必要最小限のメンバーで十分という考えだ。
ジョブズはまた、あまりにシステム化されたものを嫌い、とくにパワーポイントの使用を毛嫌いしていた。彼は、流れるように進行する会議を好み、長ったらしいプレゼンによって硬直してしまうことを嫌ったのだ。
私の会社では、パワーポイントの使用はカンファレンスなどでの基調講演、クライアントによる売り込み、規模の大きい全体会議の場に限ると決まっている。
小さな社内会議でパワーポイントを使われると気が散るし、煩雑で面倒なだけだ。正しいメンバーが集まっていれば、プレゼンなどなくても、議論のなかで成果を出すことができる。

4. 事前に必要な情報を伝える

ベゾスは社員に対し、会議前に4ページのメモを準備しておくよう求めるという。私の会社でも、参加者がその日の議題と話し合われる分野について明確に理解したうえで会議に臨めるようにしている。
そうした情報を事前に受け取っていれば、参加者全員が、なぜその会議が自分に関係があるのかを理解し、準備をして自分なりのゴールを設定することができるだろう。そして最終的には、会議の場で参加者全員による成果の達成につながる。

5. 参加者全員の関与をクリアに

ジョブズは会議の参加者それぞれにタスクを与え、DRI(Directly Responsible Individual=直接責任者)とした。会議の参加者全員に役割や責任を与えるのは、成果をもたらすのに極めて効果的で、2つの目的を果たす。
第一に、全員が会議での居場所を確保し、その場にいる必要性を感じることができる。第二に、それぞれが自分の意見を発言すべきだと考えるようになり、議論が促される。
自分に何が求められているか、チーム全体としてもどのような成果を出す必要があるかが明確になるのだ。

6. 会議はつねに最新の方法で

会議は会議室で、みんながテーブルを囲んで着席したうえで行われなければならない、というルールはない。とくに今はスカイプやフェイスタイム、電話会議がかなり一般的になってきた。
ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンは起立したまま、あるいは移動しながら会議を行う。彼は、直感的なアイデアが浮かんだり決定を迅速に下したりできる、歩きながらの会議を好む。
起立したままの会議は参加者の集中力を高め、会議時間を大幅に縮小するといわれる。
私の会社では、防音ブースから広々とした共用スペースまで社内の至るところに、さまざまな会議やちょっとした打ち合わせができる場所を用意してある。
2018年、自分のチームや会社にはどんなやり方がベストなのか、いろいろと試してみるといいだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Bryan Adams/Founder and CEO, Ph.Creative、翻訳:中村エマ、写真:Aleutie/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.