犬がそばにいると、人間はより親切で協力的になることが研究で明らかになった。経営者のみなさんは注目だ。

「犬同伴OKの職場」には反対意見も

ちょっとソーシャルメディアをのぞいてみれば、誰でも納得するだろう。人々はかわいい動物、とりわけ犬が大好きだ。ただ、「人類のよき友」を限りなく愛する人たちは多いとはいえ、「犬を連れていける職場」については反対意見もある。
アメリカにはこうした職場のトレンドがあるとはいえ、経営者や管理職がこれに乗りたがらない理由はたくさんある。犬アレルギーの人に訴えられたり、ケガで高額の賠償を請求されたり、オフィスの家主が動物をいやがったりするからだ。
もしも職場の上司がそうした1人で、しかしどうしても犬を連れて出社したい場合、職場にかわいい友だちを連れていけるようボスを説得する方法はあるだろうか。
こうした問題にも、科学が役に立つ可能性がある。セントラル・ミシガン大学の最新研究で、犬がいる職場の利点を裏づける結果が得られたのだ。これを、消極的な上司の説得に使えるかもしれない。

犬の存在はコラボレーションを改善させる

カリフォルニア大学バークレー校のグレーター・グッド・サイエンス・センターが先日紹介したこの研究は、シンプルな前提に基づいている。被験者グループに、たとえば架空の15秒の広告を考えさせるなど、創造性と協調性を要する短時間の課題を行わせ、その場に犬がいることが結果に及ぼす影響を調べたのだ。
研究の結果、犬は共同作業に優れた効果をもたらした。参加者たちの作業の様子を記録した映像について、外部の専門家と参加者自身が親密度や思いやり、協調性について評価を下したところ、いずれの評価も、その場に犬がいたグループのほうがより互いを信頼し、協力しあう傾向を示した。
つまり、犬がそばにいるだけで、チームワークが大幅に向上すると考えられるのだ。「チームで仕事をする場合、犬の存在が社会的な潤滑剤になるようだ」と、論文の筆頭著者スティーブ・コラレリは述べている。「犬はチーム内の関係に良い効果をもたらしていると考えられる」
犬はなぜ、人間同士の交流にこれほど大きな影響力を発揮するのだろうか。これについて研究チームは、動物がそばにいると人間の幸福感が高まり、幸福を感じている人は他人に優しくなりやすいと解釈している。ペットを飼う人にはおおかた予想のつく答えだろう。
オフィスに犬を入れたがらない上司には、この研究結果を見せるといいかもしれない。さらにダメ押しの説得材料が必要なら「犬にはストレスを緩和する効果がある」という先行研究や、オフィスを犬に開放する際に考慮すべきことを紹介したクリスティン・ラゴリオ=チャフキンによる記事などが役に立つだろう。
犬がそばにいるとき、みなさんは自分の性格や行動に変化を感じるだろうか。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Jessica Stillman/Contributor, Inc.com、翻訳:高橋朋子/ガリレオ、写真:Pekic/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.