【求人掲載】なぜマクロミルは短期間でグローバル企業になりえたのか

2017/7/14
2000年の設立以来、コア事業であるネットリサーチにおいて先進的な取り組みを行い、業界随一の売上実績を得てNo.1企業となったマクロミル。オランダに本社を構える同業大手MetrixLab社を買収して海外調査実績を上げるなど、近年グローバル化を加速させている。
世界規模で行われているマーケティングリサーチの現状や今後のビジョンについて、代表執行役グローバルCEOのスコット・アーンスト氏が語った。

マクロミルを世界が求める時代が来た

──マクロミルは一般的に「ネットリサーチ」のイメージが強いと思いますが、実はグローバルにビジネスを展開しているのですね。正直、規模の大きさに驚きました。
アーンスト:「ネットリサーチの会社」というイメージは、ある意味非常に正しいです。私たちマクロミルは、2000年の会社設立以来、オンラインマーケティングリサーチにフォーカスを当てて活動してきました。また、2013年までは、収益の95%が日本企業からのものだったので、ここ数年で急速にグローバル展開が進んだのも事実です。
マクロミルは現在、世界中で3,800以上のクライアントやブランド、代理店と取引を行っています。彼らが企業戦略や営業、マーケティングといった領域で正しい決断ができるよう、スピーディで効果的なマーケティングリサーチソリューションを提供するのが私たちの使命です。
──なぜ、急速なグローバル展開が可能だったのでしょうか。
1つめの理由は、私たちのビジネスが時代とマッチした、ということでしょう。
SNSや新しいWEBメディアが勢いを増す「デジタル時代」にあって、多くの企業が戦略に戸惑っています。デジタルを使った可能性が多種多様に広がる一方で、選択肢が多すぎて「これ」という正解が見つからないのです。
そんなとき、彼らに戦略・選択のヒントとなるデータを提供できるのが、私たちです。
マクロミルの強みは、「オンラインマーケティングリサーチ」と「デジタルマーケティングソリューション」の両方から調査ができる点です。
オンラインマーケティングリサーチによって、消費者から直接アンケートをとったり、彼らの購入履歴を分析したりすることで、消費者の嗜好を明らかにします。そのために私たちは、世界中の1,000万人もの消費者とつながっています。
デジタルマーケティングソリューションは、彼らがどのようなホームページを見て、どのようなSNSを使っているか、デジタル上での傾向を細かく分析するものです。この2つを組み合わせることで、多くのことが明らかになり、調査データが「すぐに活用できるインサイト」になります。
──デジタル時代の生き残りをかけた競争が追い風となったのですね。では、2つめの理由を教えてください。
近年、多くのクライアントが、グローバルのパートナーを必要としています。日本は今後も人口減少が続くと予測されており、市場としては縮小傾向にあります。そのため、国内に固執していては大きな成長が望めないからです。マクロミルも同じ考えです。
そこで、2009年に韓国においてネットリサーチサービスの提供を開始し、2012年にはエムブレイン社を小会社化。2014年には株式を非公開化し、米投資会社ベインキャピタルとパートナーシップを結びました。同時期、欧米におけるオンラインマーケットリサーチの大手企業MetrixLab社を買収。
昨年はインドに拠点を増やし、今年は北アフリカ進出も予定しています。
つまり、私たちは戦略的にM&Aを行い、地域別に市場開拓できる土壌を整えたのです。
世界中どこにいても、ローカルの人間がクライアントのニーズに応えられる体制を整えたい。そして、企業としてさらに大きく成長したい。これが、私たちのグローバル化の目的です。
現在、マクロミルは世界中に1,000人以上のリサーチャーと400人以上の営業社員を抱え、より広い地域のクライアントのニーズに応えるべく、奮闘しています。今は世界34カ所にある拠点を、3〜5年で50カ所に増やしていく予定です。

大きなチャンスは苦しい状況から生まれる

──世界を舞台にビジネスを拡大するマクロミルで活躍するために、「個」としてどのような能力や資質が必要だと考えますか。
「能力」について端的に言えば、マーケティングに強く、クライアントのニーズが理解できること。データやテクノロジーに精通していること。そして、グローバルに興味があることでしょうね。
「資質」や「心構え」については、入社する新人にいつも伝えることがあります。
仕事をするうえで、私は次の3つのことを大切にしています。
ひとつは、「チャンスをものにする」ということです。
それには、どんなに前例がないことにも、失敗を恐れず飛び込む勇気が必要です。色々な可能性に心を開き、たとえうまくいかなくても苦境を乗り越える努力をすること。経験上、大きなチャンスは、そういう苦しい状況から生まれます。
「マクロミルのグローバルCEOにならないか」という話がきたときもそうでした。今までにない新しい環境・分野での挑戦でしたが、臆することなくチャンスをつかんだからこそ、今の私があります。
次に、「自分に投資する」ということです。仕事に限らず、ゴルファーでもミュージシャンでも、最高のパフォーマンスを導き出すためには、自分に「投資する=努力し、学び、練習する」ことが重要です。
自分がどんな分野を極めていきたいのか、挑戦していきたいのか、上司にきちんと伝えられれば、希望通りの仕事をするチャンスを引き寄せられるでしょう。
もっとも重要なのが「情熱を見つける」ということです。そもそも、自分がワクワクするような仕事でないと、努力しようという気持ちさえ起きないでしょう。そして、面白くないことに時間を費やすほど、人生は長くありません。
私は、マクロミルでの仕事に毎朝ワクワクして目を覚まします。私と同じかそれ以上の情熱の持ち主がいれば、ぜひ一緒に働きたいですね。

従来のマーケットリサーチを破壊したい

──今後のマクロミルのビジネス展開について教えてください。
日本ではすでに業界No.1のシェアがありますが、日本にもまだまだ開拓できる余地があります。
テレビを中心に発展してきた日本の広告マーケットは独特で、西欧の市場とは性質が異なります。また、デジタル化においても、日本はまだ初期段階、移行中といっていいでしょう。言い換えればそれは、日本以外の国で起きたことが、今後日本でも起きる可能性を示しています。
たとえば西欧では、広告を作る際に「デジタル・クリエイティブ・テスティング」を行い、広告に含まれるクリエイティブ要素を機械的に計るようになっています。最新の研究によって、クリエイティブ要素が広告の効果の75%を握ることがわかったからです。
まだ日本ではこういった動きはありませんが、数年後には必ず同じことが行われるでしょう。グローバルにビジネスを展開することで、動きを先読みできること。これが日本での私たちの強みになります。
──日本のシェアNo.1に甘んじず、さらなる拡大を目指すということですね。グローバルでの戦略についてはどうですか。
マクロミルは、企業規模が拡大しても機敏さと柔軟さを兼ね添え、そしてどこよりもデジタルであり続けます。それによって、どこよりも速く、クライアントに必要なインサイトを提供します。
たとえばアメリカでは、長年クライアントとの関係を築き上げてきたニールセンやGfKといった大手のマーケティングリサーチ会社のシェアが大きく、マクロミルのシェアは残念ながらそこに及びません。
だからこそ、マクロミルは日本以外の国では「Disruptor」となって、クライアント獲得に動かなければならないでしょう。
この「Disruptor」という単語は、一言でマクロミルを表すのにぴったりだと思います。目まぐるしく変化する世界のニーズを捉えるために、従来のリサーチやマーケットの常識を破壊し、新しい常識を作っていく企業だからです。
日々成長し続ける企業で働くのは、誰にとっても魅力的な経験です。データ、そしてインサイトがますます重要になる今が、マクロミルにとってもっともエキサイティングな時期です。
(編集:大高志帆 構成:狩野綾子 撮影:長谷川博一 デザイン:久喜洋介)