“複業時代”の働き方――「一生一社」から「同時に数社」へ

2017/7/6
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
今週のナビゲーターは、いつものサッシャさんに代わり、グローバーさんが担当します。
6日は、スリーエムジャパン副社長の昆政彦さんが出演。「公認会計士、バー経営、チームオーナー…12の顔を持つプロバスケットボール選手が複業をする理由」(Business Insider Japan)を題材に、これからの働き方について解説しました。

“複業時代”の到来

グローバー 今日は、「公認会計士、バー経営、チームオーナー…12の顔を持つプロバスケットボール選手が複業をする理由」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の昆政彦さんです。
昆さんは、スリーエム ジャパンの副社長でいらっしゃいます。おはようございます。
 おはようございます。
グローバー まず、このニュースをピックアップした理由を教えて下さい。
 プロスポーツ選手独特の話ではなくて、「一般企業に勤めている人も、こういう時代になってきた」ということでピックアップしました。
グローバー アスリートがスポーツ選手を辞めた後に、どうやって生きていくのかという文脈と関係なく、仕事を2つ3つやっていくほうがいい時代だと。
 そうですね。もともと団塊の世代の人たちは、「一生一社」を勤め上げるのがカッコいいというところがありました。
でも、今の時代は「一生数社」で、転職をしながらキャリアを積み上げていく。この次の世代は、「同時に数社」を股にかけながら働いていくんです。
グローバー これは、会社では許されているんですか? 禁止されているイメージがあるのですが。
 そうですね。これを取り入れている企業側からは2つの意味があると思います。
一つは、同じ会社で、同じ人と同じ会話をしているとイノベーションが生まれないんですよ。
イノベーションを起こすためには、脳に新しい刺激を入れなければならない。そのためには外に出て新しい人と話したり、体験をしたりすることが、本業に重要です。それを期待しています。
もう一つは、だんだん個性を活かす時代になってきているわけですね。
今までは「会社で勤め、社宅に入り、定年までいなさい」というところがありましたけれど、自由に任せるようになってきました。
例えば、ジョブポスティングといって、ポジションが空いた時の社内公募に自分で応募して、異動できる仕組みなどが出てきています。
これが進んでくると、「100か0か」ではなくなってくるんです。つまり、70は自分が所属している会社、30は社外の仕事でもいいとなっていきます。
100か0かにすると、社員が少しでも社外のことをやろうとした場合、会社を辞めてもらわなければいけない。これは、会社にとってもマイナスになるんです。

人生設計図を描く必要性

寺岡 複業に関しては、週5日働いている中で、どういうバランスでやればいいんですか?
 まず、今までは仕事と私生活を完全に分けて考えていたと思います。
グローバー オンとオフ、という言葉がありますよね。
 それが、だんだん会社に頼らなくなってくると、自分ですべて「人生設計図」を描かなければいけなくなります。
そうすると、境界線を入れずに、一つにまとめて、その中で優先順位をつけなければいけない。
そして、会社の仕事も「作業」だけをする時代ではなくなっていて、同時に5つも6つもプロジェクトを持ちながら動くようになっているんです。当然、このうち一つが社外のものになることもある。
そのバランスを全部考えなければいけないので、これは新しいスキルを身につけなければいけないことにもなります。
グローバー それは新しい楽しみかもしれないですね。一つの会社からもらった時間割をこなすんじゃなくて、自分で時間割をつくって仕事をするので。
 そうですね。それに、より良い成果を出すためには嫌な仕事をするより、楽しい仕事をすることがベースになければいけないですしね。
グローバー ご自身もそうやっていくつかのお仕事をされているんですか?
 そうですね。転職も4回していますし、自分が生き生きと出来る場所を求めて仕事をしてきたというのが、今までの経験です。
お金のために嫌なことをするんじゃなくて、「楽しいことをしてお金を儲けていく」と気持ちを切り替えていくことが大事だと思うんです。

複業がもたらす好影響

グローバー それだけを考えて、僕やテリー(寺岡)さんはミュージシャンになってしまいましたね。
寺岡 そうですね、楽しいこと大好き(笑)。でも、グローバーさんもミュージシャンでラジオも出て、テレビにも出演しています。複業というか色々と幅広くやられてますよね。
グローバー そうですね、自分でも何足のわらじか分からないですね。最近は、自分が何なのか分からない(笑)。でも、それが楽しいと思っているんですけれど。
テリーさんも、ソングライターですがニュースも読みます。もっとやってみたいこともあるんじゃないですか?
寺岡 それこそ、グローバーさんのミステリーハンター(TBS系「世界ふしぎ発見!」)は、うらやましいなと思います(笑)。
グローバー こういう考え方でいいんですよね?
 そうですね。私がお二人にお聞きしたいのは、もともと歌をやられていたところから、ラジオを始めたことで、歌の方にどんな影響がありましたか? 
実は、この影響こそ「企業が欲しい影響」なんですよ。
グローバー 最初の頃に多かったのは、ラジオで知り合ったミュージシャンと意気投合して、一緒にライブをするようになったことですね。それが楽しかったです。
そして、年齢を重ねてくると、ミュージシャンだけではなくて、ビジネスパーソンなどに会うようになり、生き方を教えてもらうようになりました。
そうすると、「ミュージシャンに固執しなくてもいいんだ」となって、執着がなくなり、だからこそ音楽が楽しくなりましたね。テリーさんはどうですか?
寺岡 私はまだまだこれからですが、「ラジオを聴いてライブに来ましたよ」と言ってくれたお客様がいて、音楽もラジオも両方応援してくれるのはすごくうれしいことですね。

「違うこと」が持つ価値

グローバー 複業、転職などは、タイミングもあるので「いつ始めたらいいのかな」という方もいると思うんですけれど、何かアドバイスはありますか?
 まずは仕事だけを考えるんじゃなくて、自分の人生設計図を考えていく。その時に、人生を通して社会にどういう価値を与えたいのか。
お二人の場合は、「歌を通して喜びや幸せを与えたい」ということがあると思うんですけれど。
グローバー そうですね、楽しんで欲しいと思っています。
 それを、各個人がどういう形で与えるかがベースになると思います。
そうなった時、仕事でやるうえでは武器が必要ですよね。武器とは「他の人と違う」ということ。
他の人より優れていることも大事なんですけれど、違うことがお金になる価値になるんです。「違う見方ができる」「違う感じができる」といった部分を大事にして育てるといいと思います。
グローバー では、二足のわらじという言葉は、あまりいい意味で使われてこなかった気もしますが、それにフィットする人は、自分の感情のまま恐れずに取り組むことがいいのかな。
 そうですね。やっぱり、人生は楽しむことが一番大事なことですから。
グローバー そうおっしゃっている昆さんのスマイルが、すごくいいんですよね。
寺岡 私もすごく刺さっています(笑)。いい生き方をされていて、私もこんな大人になりたいですね。
グローバー 昆さん、ありがとうございました。
 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした昆さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
来週10日は、農業生産法人GRA代表岩佐大輝さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください