DAZNの欧州チャンピオンズリーグ独占放送は朗報なのか
2017/7/3
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」（毎週月～木 9：00～13：00）と連携した企画「PICK ONE」（毎週月～木 11：10～11：20）をスタートしました。
今週のナビゲーターは、いつものサッシャさんに代わり、グローバーさんが担当します。
3日は、フットサルのプロリーグで報道官を務めるタレントの加藤未央さんを迎え、「『DAZN』欧州CL、EL全試合の独占放送権を獲得 来季から3年間」（Sponichi Annex）を題材に、サッカー中継のあり方について解説しました。
欧州が熱狂するCL
グローバー 今日は、「『DAZN』欧州CL（チャンピオンズリーグ）、EL（ヨーロッパリーグ）全試合の独占放送権を獲得 来季から3年間」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の加藤未央さんです。
加藤さんは、TBSテレビ「スーパーサッカー」などサッカー番組を担当され、サッカーマガジンでの連載などを経て、現在フットサルのプロリーグFリーグの報道官としてご活躍中です。おはようございます。
加藤 おはようございます、加藤未央です。よろしくお願いします。
グローバー DAZNが欧州CLなどの独占放映権を獲得、とのことですが。
加藤 このCLは、世界中が熱狂するサッカーのリーグのことなんですね。
グローバー どうして熱狂するんですか？
加藤 これはヨーロッパのクラブナンバーワンを決めるリーグなんですけれど、ヨーロッパの彼らのDNAにはサッカーの血が入ってるんですよ（笑）。海外で、何も共通の話題がなくてもCLの話をすると盛り上がるんですよね。
グローバー ヨーロッパは自分の町のクラブチームを応援していますもんね。
加藤 そうなんです。だから、人間関係の潤滑剤にもなるんですよ。
CLに関して、日本での中継は、これまで2003-04年シーズンからスカパーが放送していたんです。
そして、そのスカパーからサブライセンスを得たフジテレビが地上波で放送していたので、地上波でもCLの中継をいくつかは見ることができました。
ただ、今回はDAZNからスカパーやフジテレビがサブライセンスを得るのかというと、現状では「予定がなし」と、DAZN側が発表しています。
グローバー 「独占だから、みなさんDAZNにどんどん来てくださいよ」と。
加藤 そうなんです。現状では、完全にDAZNによる独占放送が決定しています。
サッカーファンは2極化するか
寺岡 DAZNというのは、アプリだったり、サイトだったり、Webで見られるんですか？
加藤 そうです、会員制のサービスですね。
グローバー 最近、映画やテレビに加えて、NetflixとかAbemaTVとか色々なものが出てきています。今のテレビのポジショニングが変わってきている流れの一つですか？
加藤 そうですね。お金を払ってコンテンツを見ることに日本人は慣れていないと思うんですけれど、欧米では自分の観たいチャンネルに対してお金を払うことは一般的になっています。
CLにしてもJリーグにしても、今までお金を払ってスカパーなどでサッカーを見ていた人や、チケットを買ってスタジアムに行く人にとっては、DAZNになっても、お金を払って見ることに対して全く違和感がないと思うんです。
グローバー スカパーもお金かかっていましたしね。そこからDAZNに対しては抵抗がない方は多いでしょうね。
加藤 ただ、今までお金を払って見ていなかったけれど、民放でテレビをつけた時にたまたまサッカー中継をやっていたからなんとなく見ていた人や、ハイライト番組などを見てサッカーを楽しんでいた人たちにとっては、見る機会がなくなってしまう。
そういう人たちは、スタジアムにもいかないと思うんですよね。行きづらいというか行く機会がまずない。
だから私は今後、サッカーファンは、お金を払って観る人と、全く見る機会がなくなってしまう人との2極化が進んでいくんじゃないかと思っています。
感動の共有に課題あり
グローバー サッカーの入り口ってまだテレビなんですかね？
寺岡 私は普段、スポーツはそんなに観戦しませんが、テレビや雑誌、新聞のニュースで「UEFA始まりました」とか、夏だと「甲子園が開幕しました」というのは、なんとなく耳に入ると思うんですよね。
そういうのがなくなってしまって、みんなでワイワイ言いながら「サッカー始まったね」なんていう話題がなくなっちゃうのかな？という感じはします。
加藤 サッカーファンを増やす方法として、一つは、半ば強制的にスタジアムに連れていくようなことは「あり」だと思うんですよ。サッカーファンのなかには「ゴール裏に初めて行って、一気にファンになってサポーターになった」という人たちがいるんです。
そういう人は、サッカーのコンテンツにお金を払うようになっていくと思います。
グローバー ちなみに、JリーグもDAZNですか？
加藤 DAZNですね。
ある意味、DAZNに加入すれば、JリーグもCLも、今後両方見られるようになるというのは本当にいいことだと思っているんですよ。金額的に視聴者にとってローコストで済むので。
スカパーではCLを見ようとすると、最低月額2980円かかっていたんですね。それがDAZNだと月額1750円、ドコモの契約者は980円で済みます。
そのため、視聴者にとっての負担は少なくなるのかな。入り口のハードルは下がったのかな思いますね。
グローバー ただ、サッカーには、手元のタブレットやスマホだけじゃなくて、スポーツバーとかパブリックビューイングでの楽しみもあるじゃないですか？
加藤 おっしゃる通り！
私はそこを懸念材料としてあげているんです。スポーツって、大人数で見て、ワイワイしながら感動を共有し合うことが一つの醍醐味だと思っているんですね。
個人で完結するスマホや小さなタブレット端末の画面で済んでしまうと、一人で「よしっ」ってガッツポーズをしたところで共感しづらいし、「今のすごい！」と思ってもなかなか共有しづらいと思います。
グローバー もったいないかもしれないですね。
寺岡 ただ、そういうのは、SNSに書き込みすることにとって代わられてしまうのかな、とも思いますね。でも「みんなでビール飲みながら」とか「ワイワイ」っていうのはいいと思います。
加藤 「今のゴールこうだったよね」、「今のパスこうだったよね」っていう話を「今の瞬間」できることって私は大事じゃないかな、と思うんですよね。
グローバー 今回のニュースをきっかけに、スポーツや動画サイトの見方が変わっていったらいいのかもしれないですね。ありがとうございました！
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした加藤さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
