[東京 27日 ロイター] - NTT<9432.T>は27日、都内で定時株主総会を開いた。地域通信と長距離通信とに分かれている現在の固定通信系のグループ体制について、坂本英一取締役はすでにサービスは融合しており、1社体制に戻す必要はないとの認識を示した。

NTTが持ち株会社の下、地域通信を手掛けるNTT東西会社と長距離・国際通信のNTTコミュニケーションズに再編されたのは1999年。競争政策などの観点から分離・分割されたが、インターネットの発達や携帯電話の普及により、現在のグループ体制は時代に合わないとの指摘も出ている。

これについて坂本取締役は「電話のネットワークを中心とした時代に再編成した東西、コミュニケーションズという枠組みは、その後のIP化の流れによってだいぶサービスが融合してきている」と指摘。「地域通信とか長距離通信といったものがあまり意味をなさない時代にきているのは事実だ」としながらも、再編については「もう1回1社にする必要性は考えていない」と否定した。

その理由として「先にサービスが融合しており、それぞれのグル―プ会社がそれぞれの商材を持ち合ってワンストップで顧客に提供できる環境が整ってきている」ことを挙げた。

坂本取締役は固定系サービスと移動系サービスとの連携についても言及し、「移動と固定もさまざまなサービスが融合してきており、顧客はどこの会社かを意識することなく一括で利用する時代になってきている」と現状を説明した。

NTTドコモ<9437.T>はNTT東西会社の光回線を借りて固定ブロードバンドサービスを提供しており、固定と移動との垣根は事実上なくなりつつある。

NTTは2024年に現在の固定電話網(PSTN)をインターネット技術を使ったIP網に変更する予定で、それに伴い、距離に応じて通話料が高くなる仕組みを改め、全国一律3分8.5円にする計画を明らかにしている。

今後、固定系3社とNTTドコモの連携はさらに加速しそうだが、競合するKDDI<9433.T>やソフトバンクグループ<9984.T>からは分離・分割の形骸化を警戒する声も出ている。

*最終段落の誤字を修正しました。

(志田義寧)