【新】専門家と考える「怪しいデータ分析」に騙されない方法

2017/6/26
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第89回はシカゴ大学助教授の伊藤公一朗氏が登場する。
話題の「ビッグデータ」に象徴されるように、生活やビジネスに関わる大量のデータが記録・蓄積され、さまざまな分野で活用され始めている。こうした中で、データアナリストという職業が注目を浴びるようになってきた。
ビジネスにおけるデータ活用が進んでいるアメリカでは、グーグルやアマゾン・ドット・コム、配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズを始めとする多くの企業が、データ分析を日常的に駆使して高い利益を上げている。
米シカゴ大学公共政策大学院ハリススクールで、データ分析の理論と応用について教鞭を執る伊藤公一朗助教授は、4月に刊行したデビュー作『データ分析の力』で、これからの時代には理系・文系にかかわらず、データ分析力は様々な職業や立場で働く人に必須の力になっている、と述べる。
データ分析の考え方を理解することが、ビジネスや政策立案にとって重要性を増していることは言うまでもない。
しかし伊藤氏は、「日本にはまだまだ、怪しいデータ分析が多い」と指摘する。今回、最先端の研究機関に勤務するからこそ生じてきた、日本人のデータリテラシーに対する問題意識を聞いた。

因果関係と相関関係の混同例

──伊藤さんは著書『データ分析の力』で、「因果関係(ある要素〈X〉が結果〈Y〉に影響を与えている関係)」と「相関関係(XとYのデータの動きに関連性が見られる関係)」はきちんと区別すべきだということ、そして、相関関係でしかないことをいかにも因果関係があるかのように語ってはいけないことを指摘しています。