ホリエモンが読者の質問を一刀両断(前編)

2017/7/1
NewsPicksアカデミアでは、過去のイベント記事を一部無料で公開。今回は、2017年6月5日、NewsPicksアカデミアのイベント「ホリエモン道場」の様子をお届けする。

本イベントでは『多動力』の読者が、堀江氏に仕事やキャリアに関する質問をぶつけ、堀江氏が参加者に対して「質問の良し悪し」を指導した。今回はその前編を公開する。(モデレーターは幻冬舎の箕輪厚介氏)
冒頭では、『多動力』の10万部突破を祝うくす玉が割られた
──『多動力』の中には「質問力がないと、いくつものプロジェクトを同時に高速で動かすような多動力が発揮できない」とありましたが、それを受け本イベントは「ホリエモン道場」と名付け、事前に参加者のみなさんから質問をいただいています。
その質問をどんどん堀江さんにぶつけていくので「これは自分の質問だ」と思った方は手をあげてください。
堀江 この質問って意味なくない?
会場 (笑)
堀江 仕事をする上で「何を一番大事にするのか」なんて考えたことがないです。どんなプロジェクトも面白いからやっているだけです。次の質問にいきましょう。
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年、福岡県生まれ。SNS media&consultingファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の読者は1万数千人の規模に。2014年8月には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタートした。
堀江 この質問も意味ないですよね。
そんな状況なんてありえない。そもそも、人脈も財力も知名度も一切ない状態でビジネスを始めたって、仲間なんか選べないですよ。一緒にやってくれる人がいるだけでありがたい話です。
──堀江さん、しょっぱなからバサバサですね。次に行きましょう。
堀江 しつこくやっているかどうかですね。
──質問者の方いらっしゃいますか?
質問者 僕が質問したかったのは、堀江さんのように色々なことをやって成果を出す人と、色々やっているけれども、どれも中途半端で終わってしまう人の違いはどういうところかなと思い、質問をさせていただきました。
堀江 みんな誤解しているんじゃないかな。
僕だって中途半端になっていることはいくらでもあります。僕が関わったビジネスで、世の中に出てくるものは、大体成功した事例ばかりなんです。
例えば、堀江貴文イノベーション大学校(以下、HIU)でも僕が投げたお題でみんなが何かプロジェクトを始めたりとか、事業をやったりするんですが、大半はうち捨てられていくんです。
そこから成果物になって、ちゃんとうまくいきそうなものなんてごく少数です。
あとはピボットするなんて、ITベンチャーの世界では当たり前ですが、常にその選択肢を持っておくことも大事です。
要は、最初のプランAがうまくいかないことは普通だし、その次のプランBもうまくいかないことも普通です。だからお金やリソースが続く限り、成果を出したいなら別のプランに変更してどんどんやっていくことです。
堀江 これはちょっと誤解しているんじゃないかな。僕の言う雑用って、要は色々なことをしているんだけど、書くまでもないことです。
メールの返信をしていましたとか、歯磨きしていましたとか、荷物のパッキングをしていましたとか、その種の雑用です。
質問者 完全にアウトソーシングできるものは、全部アウトソーシングしているということでしょうか。
堀江 そうですね。だから、日々最適化を求めて「これはアウトソーシングできるんじゃないかな」とずっと考えています。
質問者 逆に今、これは面倒くさいのでアウトソーシングしたいと思っていることはありますか。
堀江 歯磨きとかもそうですし、睡眠もそうですね。さすがに睡眠はアウトソーシングできないかもしれないけれど、絶対3時間でも寝れるという手段があったらいいなと思います。
あとはダイエットもあります。どんな欲望のままに食べても大丈夫、絶対に体重が増えないといった手段もあればいいと思います。ダイエットしなくてよくなりますからね。
今、ダイエットというと、糖質制限とか、脂質制限が大事って言われていますが、実はダイエットの分野でも驚くべきテクノロジーがどんどん出てきています。
3年ぐらい前にスーグラという薬ができて、スーグラのフォロワーのような薬も出てきているのですが、スーグラは、尿から糖分を排出することで、血糖値を下げる薬です。
もともと糖尿病の人が飲む薬なんだけど、たくさんご飯を食べたときにスーグラを飲めば尿から自動的に糖質カットができるわけです。
実際に、BMIが高く、肥満を伴う2型糖尿病患者のケースで、体重減少効果の報告が掲載されていて、ダイエット薬としての注目が集まっているんです。
女性は、ちょっと低血糖になったり、気を失ったりする場合もあるんでおすすめしませんが、僕はすごく重宝しています。もちろん、ダイエット用途では保険が適用されないんで全部自費ですけどね。
堀江 これが大変なんですよね。難しい理由はよく分かるんです。でも、それはバンジージャンプを飛ぶ感覚と一緒ですよ。だから、友達と一緒に飛ぶといったことが大切です。
だからこそ、僕はHIUというサロンを作ったんです。
僕のメルマガや本を読むだけで、実際に行動に移せる人は数パーセントくらいなんです。
だから、背中を押す役が必要になるんですが、僕はサロンを作ってまず背中を押そうと思いました。
実際に作ってみたら、背中を押されてバンジージャンプを飛ぶ人がいっぱい出てくるようになりましたし、次にその人たちが他の人の背中を押してくれるようになっています。
──堀江さんがキングコングの西野亮廣さんと対談したとき、吉本のお笑い養成学校(NSC)とHIUが似ているという話をしていましたよね。要は、場を作るということですよね。
堀江 そう。だから、NSCは別に何かを教えているわけでもなくて、周りが切磋琢磨して、バンバンチャレンジしている仲間たちがいることで刺激を受け、その結果みんながどんどんバンジージャンプを飛ぶようになりました、ということなんだと思います。
──アカデミアもそれを目指しています。
堀江 特にないよ。だって僕はNewsPicksアカデミアの会員じゃないし。
──とはいえ、堀江さんはHIUという、1600人の会員がいて、サロンの中ではもっとも成功されているモデルをお持ちですよね。そんな堀江さんから見ると、NewsPicksアカデミアはどのようにしたらいいと思われますか?
堀江 NewsPicksアカデミアは今いい感じになってると思う。
NewsPicksというブランドに今はこれだけのメンバーが集まってきているわけだし、毎回、本を配るっていうモデルはさすがだなと思った。僕もHIUで同じことやろうと思っていて「やられたな」と思ったもん。
今回、『多動力』がヒットしたから、今後、HIUの会員は更に増えると思う。
──そうしたらサロンの会費ももっと入ってきますね。
堀江 いやサロンの会費自体はそんなに大したことがない。それよりも、僕がすごいと思うのはHIUのメンバーのパワー。
HIUの場合、会員が約1600人いるので小さな村があるようなもの。しかも、ベクトルが同じで、やる気がすごくある人たちの1600人だから全然密度が違う。
僕はHIUには1万人、いや10万人ぐらいの町ぐらいのパワーがあると思っている。でもやっぱり、NewsPicksアカデミアが本をやったのはすごいよね。
──あまり「本はすごい」というようなことを堀江さんは言わなさそうなので意外です。
堀江 本の原価なんて大したことないよね。だから刷る部数自体は大したことはない。NewsPicksアカデミアの本はKindleでも出しているの?
──Kindleと本が半々ぐらいです。Kindleで選んでいただくと原価率が若干上がります。
堀江 なるほどね。
でも、実際に僕の最近出した本は似たようなことになっているよ。会員全員に新著を配っているわけではないけれど、実質的にある程度はみんな買ってくれるわけです。
しかも『多動力』もそうなんだけど、ゲラの校正をHIUのメンバーにやってもらっています。だからメンバーは読みたければ、ゲラの段階で読めるんです。
──NewsPicksアカデミアには会員が約900人いますが、発売前に本を900人に向けて売っているのと同じです。それは映画で言う試写会みたいなことだと思っているのですが、発売する前からSNSで少しバズらせることができます。
堀江 それだよね。
このモデルは実はスタジオジブリが昔からやっていました。スタジオジブリがなぜ画期的だったかというと、映画を出すたびにローソンに協賛についてもらって、ローソンの従業員向けの試写会を公開前に毎回やっていたんです。
だからこそ、公開直後にあれだけバズっていたんだよね。ローソンは従業員が多いから20万人ぐらい事前に見ているわけです。スタジオジブリは従業員の多い会社しか協賛に入れていなかったよね。
──やっぱり読まれれば、読まれるほどいいですよね。例えば西野さんは絵本を無料公開しましたが、色々なところから反発が来ました。
堀江 僕の場合は、サロンの会員1600人とメルマガ会員が1万数千人ぐらいいて、本を出すとまずはそこの人たちが読んでくれます。Twitterのフォロワーも270万人くらいいるので、やっぱり初速はつきますよね。
*後編に続く。
(聞き手:箕輪厚介、構成:上田裕、写真撮影:鈴木大喜、動画撮影:安岡大輔、デザイン:九喜洋介)