[ロンドン 22日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)のフォーブス金融政策委員は、ポンド安がインフレに持続的な上昇圧力をもたらすと懸念しており、利上げの根拠が増しているとの認識を示した。

フォーブス氏は3月以降、利上げを主張している。月末の任期を控え、この日が最後の講演となった。

先週公表した通貨安によるインフレ押し上げの長期的な影響に関する研究論文の内容をさらに広げ、「英中銀は利上げをこれ以上遅らせるべきではない」と主張。「ポンド安は、利上げ開始を一段と迫る格好で、基調のインフレ動向を根本的に変えた」とした。

また「為替相場は政治ニュース、とりわけブレグジット関連のニュースにより反応しているようだ」とし、金融政策見通しではなく、政治が現在のポンド相場に一段と大きな影響を与えているとの考えを示した。

さらに、英経済は総じて堅調で、過度な刺激を与えられている可能性があるとして、「異例の金融緩和を緩やかに解除することが理に適う」と指摘。「過去の金融政策の教訓を踏まえると、持続的な2%のインフレ率と整合する水準に賃金の伸びが達する前に、引き締めに着手する必要がある」とし、鈍い賃金の伸びは利上げを見送る理由としては不十分との立場を示した。

同氏は、利上げ見送りを主張する政策委員らは消費支出の落ち込みや利上げがポンドに与える影響について懸念していると説明。ただ、米連邦準備理事会(FRB)による利上げや、現在の市場の焦点が金融政策の見通しではなく欧州連合(EU)離脱交渉にあることは、英中銀の利上げがポンドに与える影響を弱める要因だと主張した。

また、米国ではこれまで、消費者が支出を維持するために必要に応じて貯蓄率を引き下げることが示されてきたと語った。

フォーブス氏は、英中銀もFRBも、説明責任の拡大などを背景に、過去に比べて利上げに消極的になっているとも指摘。

英中銀に関しては、金融安定という新たな責務も、インフレの脅威を見極める時間的な余裕を奪い、利上げを難しくしているとした。さらに、英中銀による2014年の住宅ローン規制強化が利上げを難しくした一因だったの見方を示した。

先週の金融政策会合では、フォーブス氏に加え、マカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ支持に回ったほか、ハルデーン理事も21日、今年下半期の利上げを支持する公算が大きいとの認識を表明。英中銀内では利上げ支持が広まっているもようだ。

こうした中、 野村のエコノミストは、英中銀が次回8月3日の金融政策会合で利上げを決定するとの見方を示している。

*内容を追加しました。