[東京 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のデビッド・リプトン筆頭副専務理事は19日、都内でロイターの取材に応じ、日銀が出口戦略について議論を始めるのは「時期尚早」との認識を示した。日銀が導入した長短金利操作の有効性を認めつつ、物価2%目標の達成には、さらなる労働市場改革による賃上げの加速が必要とも指摘した。

中央銀行が金融緩和策を終わらせる出口戦略について、リプトン氏は「その国や地域の経済状況次第であり、ペースや時期について予測することは困難」とする一方、日銀に関しては目標の物価2%が依然遠いことを踏まえ、出口の議論は早すぎると指摘した。

その上で、日銀が「量」から「金利」へ政策の軸足を移したことは「有効で持続可能性のあるアプローチ」と評価。

年間80兆円をめどとする国債買い入れペースが、実際とかい離していることを巡っては「イールドカーブをコントロールするために国債買い入れ額が上下するのは当然」とし、「量から金利に戦略をシフトさせたのは適切な判断だと思える」と重ねて強調した。

今後の物価動向は、財政政策と構造改革の後押しがあれば「数年内に1.0─1.5%に達する可能性がある」との見通しを示した。2%達成には、特に賃上げや労働市場改革の加速が必要との立場を明確にした。

リプトン氏はまた、「物価の伸び悩みは、長期的にインフレ期待を危険なまでに押し下げ、賃上げの動きや経済成長を鈍化させかねない」と警鐘を鳴らし、日銀には物価目標の堅持を求めた。

(梅川崇、梶本哲史)